ベルギーリーグでの成功を足がかりに、欧州のトップリーグへと羽ばたいた選手もいる。例えば、日本代表DF冨安健洋は、STVV(2018-2019)での活躍を経てセリエAのボローニャ(2019-2021)を経由し、プレミアリーグのアーセナルへ2021年8月に移籍。日本代表MF鎌田大地は、STVVでの経験を糧にブンデスリーガのアイントラハト・フランクフルト(2017-2023)で活躍後、2024年7月からプレミアリーグのクリスタル・パレスに所属している 。
また、日本代表キャプテンMF遠藤航も、STVV(2018-2019)で欧州のキャリアをスタート。ブンデスリーガのシュツットガルト時代(2019-2023)にはキャプテン務めるなど多大な貢献をして、2023年の8月からはプレミアリーグの名門リバプールでプレーしている。
しかし、すべての選手が順風満帆なキャリアを築けるわけではない。適応の難しさやプレースタイルの違い、戦術的な役割の相違などに直面し、現地で十分なインパクトを残せなかった例も存在する。期待されながらも定着できず、出場機会が限られた末に移籍や退団を選んだ選手も少なくない。
ここでは、ベルギーでの挑戦が順調に進まなかった日本人選手たちに焦点を当て、その成績と背景を探ってみたい。

小野裕二(アルビレックス新潟)
- 2013-2015:スタンダール・リエージュ
- 2015-2016:STVV
しかし、2012/13シーズン途中の移籍ということもあり、加入後は即戦力とはいかず途中交代やベンチ外が続いた。そして夏のオフを挟み満を持して臨んだ翌2013/14シーズンだったが、2013年7月のシーズン開幕前に左膝前十字靭帯断裂の大怪我を負い、約1年間の戦線離脱を強いられた。
復帰後もベルギーでのプレー経験が浅かったこともあり、チーム内での序列を上げることはできずに2015年7月にSTVVへの移籍が発表された。名門リエージュ在籍時の2シーズン半では、怪我の影響もあり全コンペティションで39試合の出場にとどまり、2ゴール2アシストと寂しい数字となった。
STVVへ移籍後は、トップ下のポジションで起用される機会が増えた小野。リエージュではサイドでプレーすることが多かったが、STVVでは中央でのプレーが求められることが多くなった。
加入初年度の2015/16シーズンは期待を背負い開幕から第19節までは連続して先発出場。しかしゴールやアシストといった目に見えた結果を残すことができずに徐々に序列が低下し、2016/17シーズンもその兆候は変わらず。顎骨折も重なりほとんど試合に出場できないまま、最終的に2017年1月、STVVとの契約を解除。1シーズン半を過ごしたSTVVでは、通算33試合に出場したがゴールやアシストは残せず苦い経験となった。
小野のベルギー時代は怪我との戦いとなってしまったが、攻撃選手として72試合に出場しながら、2ゴール2アシストという数字で現れた結果は失敗といわざるを得ないだろう。

本間至恩(浦和レッズ)
- 2022-2024:クラブ・ブルッヘ
しかし、シーズン後半の2023年6月4日、1部リーグのプレーオフ最終節であるロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ戦(3-1)に途中出場し、1ゴール1アシストの活躍でチームの逆転勝利に貢献。この勝利は、相手チームのリーグ優勝を阻止する結果となり、大きな注目を集めたと同時に翌シーズンの本間のトップチーム定着への布石となると思われた。
そして迎えた2023/24シーズン、8月17日にUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ(UECL)予選3回戦第2戦のアークレイラル戦(5-1)で前半20分から途中出場し、クラブ加入後最長となる70分間プレーした本間。 しかし、その後のブルッヘでの出場機会は限定的で、通算5試合88分の出場にとどまり、NXTでのプレーが中心となっていた。
契約最終年だった翌2024/25シーズンからは一層の活躍が期待されていたが、2024年7月にJ1の浦和レッズへ完全移籍。ブルッヘでもう1年辛抱強く出場機会を求めていれば、欧州でのキャリアはまた違ったものになっていたのかもしれないが、結果として欧州でのキャリアを築くことはできなかった。浦和での再出発が今後の再挑戦への足がかりとなるのか、注目したい。

小林祐希(いわてグルージャ盛岡)
- 2019-2020:ワースラント=ベフェレン
しかし、シーズン途中の9月加入ということも手伝ってか、2019/20シーズンはリーグ戦で19試合に出場し、2ゴール2アシストと平凡な数字となった小林。その後、2020年8月にベフェレンを退団しフリーエージェントとなり、カタール1部のアル・ホールSCへ加入した。
小林のベルギーでの経験は、個人としては一定の出場機会を得ていたものの、シーズン後半の降格を懸けた大事なプレーオフの時期に構想外という憂目に逢った。同リーグでのステップアップ移籍もなく、下位に位置したチームにおいて目立った活躍が出来たとは言い難く、このころから選手キャリアも下降線を辿っていった。

松原后(ジュビロ磐田)
- 2020-2022:STVV
翌2020/21シーズンは第2節から6節まで連続で先発しフル出場を果たし、レギュラーの座をつかんだかに思われたが、その期間のチーム成績が2分け3敗と伴わず、第8節は控えに回ると翌9節からはベンチ外が続いた。3シーズン目となり期待された2021/22シーズン、開幕から第7節までこそは出場機会を得ていたが、やはり第9節からベンチ外が続き、そのまま目立った活躍をすることなくシーズンを終えた。
その後、2022年7月に当時J1だったジュビロ磐田へ完全移籍し、再び日本のピッチに立つことを選んだ松原。ベルギーでの適応に苦しみ、2年半という在籍期間ながらもリーグ戦の出場はわずか15試合にとどまった。

永井謙佑(名古屋グランパス)
- 2013-2014:スタンダール・リエージュ
シーズン途中の加入ということもあり初年度はベンチ外が続いた永井。プレーオフでは出場のチャンスが巡ってきたが、ベルギーではフィジカルの強さがより求められ、単純なスピードだけでは通用しなかった。本人も「ベルギーはスピードよりフィジカル。腕(で抑える力)が強い」と2013年に語っていることが紹介されている。自慢のスプリントを活かしきれない場面が多く、試合にすら出ることが許されなかった。
翌2013/14シーズンも開幕から出場の機会が訪れることはなく、第3節終了後の2013年8月に名古屋に期限付き移籍で戻り、その後2015年1月に完全移籍で名古屋に加入した。
期待されて加入しながらもベルギーの水に全く馴染めず、在籍期間わずか半年となったリエージュでは通算12試合の出場にとどまりゴールはなくアシスト1のみだった永井。期待された活躍は皆無に等しかった。