Jリーガーで「PK職人」といえば誰が思い浮かぶだろう。筆者が真っ先に思い浮かべるのは、2023シーズンで現役を退いた元日本代表の遠藤保仁氏である。
選手時代にJリーグで蹴ったPK全35回のうち31回を成功させており、失敗は4回のみ。成功率は89%と高い成績である。

しかし現役のJリーガーには、この記録を更に上回る「PK成功率100%」を誇っている選手がなんと5名もいるのだ。ここでは、JリーグでのPK総数が6回以上のキッカーを対象に成功率100%の選手5名を紹介していく(『Jリーグデジタルデータブック』参照、記録数はJリーグ全カテゴリー対象)※3月16日時点のデータに基づく。

JリーグPK成功率100%の現役選手5傑

アンデルソン・ロペス

  • 出場試合総数:206試合
  • 得点総数:100得点
  • JリーグPK総数(成功数):17本
1人目は横浜F・マリノスのFWアンデルソン・ロペス。母国ブラジルのアヴァイFCでプロキャリアをスタートさせ、2016年にJリーグのサンフレッチェ広島でFWとしての才能が開花。2019年から所属した北海道コンサドーレ札幌でもその才能を発揮しエースにまで成長を遂げる。その後、中国1部クラブを経て2022シーズンから横浜FMでプレーしている。

185cm82kgの体格を活かした空中戦の強さやポストプレーの強さに加え、突破力も持ち味であることから「万能型FW」と呼ばれる。2023シーズンから2年連続で得点王に輝く偉業を成し遂げており、昨シーズンも23得点を挙げた(左足でのシュート18、ヘディング1、PKでの得点4)。

そんなロペスのPKは助走が独特だ。ボールを蹴る直前に減速し、相手GKの動きを判断してから冷静に流し込むことが出来る。仮にコースを読まれたとしても、四隅に蹴ることが出来るPK職人なのだ。
今シーズンのPKからも目が離せない。

JリーグPK成功率100%の現役選手5傑

都倉賢

  • 出場試合総数:453試合
  • 得点総数:122得点
  • JリーグPK総数(成功数):13本
2人目は今季からJ3の栃木シティでプレーしているFW都倉賢。ヴィッセル神戸や北海道コンサドーレ札幌など7クラブを渡り歩き、187cm80kgの体格を活かしたポストプレーや空中戦の強さ、左足からの強烈なシュートを武器にキャリアの公式戦でここまで122得点を叩き出してきた。いずれも劇的で強烈なゴールが多い。

2014シーズンJ2第38節北海道コンサドーレ札幌VS湘南ベルマーレ戦(2-0)では、味方GKが蹴ったロングフィードを胸でワントラップした後に豪快なゴールを放ち、同シーズンのJ2最優秀ゴール賞を受賞。その後も多くのゴールで所属チームを幾度となく救ってきた。これまでPKを一度も外していない都倉。キック直前まで間合いを取り、GKと駆け引きするシーンは印象的だ。

JリーグPK成功率100%の現役選手5傑

吉平翼

  • 出場試合総数:172試合
  • 得点総数:40得点
  • JリーグPK総数(成功数):12本
3人目はJ3のカターレ富山に所属するFW吉平翼。大分トリニータの下部組織出身で、高校3年次の2015シーズンには2種登録選手としてJリーグデビューを果たす。翌2016シーズンより正式に大分のトップチームに加入するも出場機会に恵まれず、2020シーズンに藤枝MYFCへ完全移籍。同シーズンは30試合出場11ゴールと活躍した。2021シーズンからは富山でプレーしており、昨シーズンは35試合出場9ゴールとエースストライカーとして攻撃陣を牽引している。

PK時は、助走で一度減速して相手GKを観察し瞬時にコースを蹴り分ける高い技術を持っている。
今シーズンは開幕前のキャンプで練習中に負った左股関節外旋筋群損傷の影響でまだ出場が無い。復帰すれば富山の攻撃陣をさらに活性化させるだろう。

JリーグPK成功率100%の現役選手5傑

樋口寛規

  • 出場試合総数:354試合
  • 得点総数:73得点
  • JリーグPK総数(成功数):7本
4人目にはJ3福島ユナイテッド所属のFW樋口寛規を挙げる。滝川第二高校(兵庫県)の3年次に出場した第89回全国高校サッカー選手権大会では、同級生の浜口孝太氏と形成する2トップが「ダブルブルドーザー」と称され、8得点を挙げて大会得点王に輝くと共に同校を初の選手権制覇に導いた。

高校卒業後の2011シーズンから清水エスパルスへ入団。経験を積むべくFC岐阜、湘南ベルマーレ、SC相模原への期限付き移籍を経て清水に復帰するも、在籍した5年間で出場は一度も叶わなかった。

2016シーズンから福島に所属。相手を置き去りにするトップスピードの速さや左右両足から放たれる正確かつ強烈なシュートを武器にコンスタントに得点を重ねている。今季は早くも4試合で4得点を挙げており、J3の得点ランキングで単独トップとなっている。これまでのキャリアで蹴ったPKは7本。四隅に蹴りこむ正確なキックですべて成功させている。

JリーグPK成功率100%の現役選手5傑

藤岡浩介

  • 出場試合総数:138試合
  • 得点総数:48得点
  • JリーグPK総数(成功数):6本
5人目は今季からFC今治でプレーしているFW藤岡浩介。日章学園高校在籍時に国体選抜選手に選出された実績を持ち、高校2年次には高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ九州1部で得点王、3年次には得点ランキング3位に輝いている。
その高い得点力を買われ、高校卒業後の2013シーズンからファジアーノ岡山に加入。

2013シーズンから2016シーズンまでは岡山と同クラブのセカンドチームであるファジアーノ岡山ネクストへの登録変更を繰り返しており、Jリーグでのプレー経験はなかった。その後、2017シーズンから当時九州サッカーリーグだったテゲバジャーロ宮崎へ移籍。クラブがJ3昇格を果たした2021シーズンには頭角を現し10ゴールをマークした。2022シーズンにJ3のFC岐阜へ完全移籍すると、昨シーズンはキャリアハイの19ゴールを記録しFC今治のFWマルクス・ヴィニシウスと並んで得点ランキングトップタイとなった。

相手DFのマークを剥がす俊敏な動き出しに加え、決定力の高さが際立っている藤岡。得点の多くはワンタッチでのゴールが多い。PKでは相手GKの逆を突くコースで決めきるほか、早いシュートスピードで四隅に蹴り分けることが出来、その巧さが垣間見える。相手GKからすると、コースの読みが当たっていてもセーブすることが難しい選手だろう。
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