一部のクラブを除き、第6節までの日程を終えた2025明治安田J1リーグ。昨年も開幕から3連敗と苦しい立ち上がりとなった名古屋グランパスは、今季もここまで6戦未勝利。
勝ち点2に留まり現時点で最下位となっている。

この短い中断期間で立て直しを図りたい名古屋は、3月20日に行われたYBCルヴァンカップ一回戦のテゲバジャーロ宮崎戦で勝利を収めた。結果だけ見れば3-0と圧倒した一方、内容では90分で得点を挙げられず、延長戦でようやく宮崎の牙城を崩した格好。昨年王者が大いに苦戦を強いられるゲームとなった。開幕前に負傷の発表がされていた新戦力GKシュミット・ダニエルの実戦復帰という明るい話題もあったが、まだまだ主力に怪我人を複数抱えていることも含めリーグ戦再開に向けて不安の残る内容だったと言えよう。

そんなチームの状況を踏まえ、ファンやサポーターにとってみれば今なお国内他クラブで活躍するかつての所属選手の活躍が一層まぶしく見えたとしても不思議はない。ここでは、今こそ名古屋が頼りたいであろう現役のOB選手を3名紹介していく。

帰ってきて!名古屋グランパスが今頼りたい現役OB選手3選

相馬勇紀(町田ゼルビア)

昨夏の国内移籍の中でも、特に話題となったのが現在町田ゼルビアで主力として活躍するMF相馬勇紀の移籍ではないだろうか。相馬は2023年1月からポルトガルのカーザ・ピアへ期限付き移籍し約1年半プレー。リーグ戦計50試合に出場し7ゴールと結果を残し、昨年夏に一時は名古屋へ復帰した。しかし、復帰初戦の第23節柏レイソル戦でゴールを挙げ勝利に貢献したのも束の間、町田へと電撃移籍。わずか1試合の復帰で、当時J1首位を走っていた新興勢力への加入を選択していた。

縦への推進力が最大の持ち味。
海外での経験により、突破力にはさらに磨きがかかった。今季もリーグ戦でドリブルで突破しそのままゴールを奪うなど、序盤戦から能力の高さと状態の良さを存分に見せつけている。また、日本代表としても14試合で5ゴールという数字を残しており、28歳という年齢もあってまだまだ成長と活躍が見込めるのも魅力の選手だ。

相馬が主戦場とする左サイドは、名古屋で言えば昨年夏にFC東京から期限付きで加入し今冬完全移籍へと移行したMF徳元悠平や高精度の鋭いクロスが持ち味のMF山中亮輔らが在籍している。いずれもキックの質の高さでチャンスを作る能力には長けているものの、相馬と比べて自ら仕掛けて敵陣深くを脅かす場面は多くない。昨年も得点数はリーグ内で下位に甘んじていたことを考えると、今こそ相馬を求める声が多く聞こえたとしても不思議はない。

帰ってきて!名古屋グランパスが今頼りたい現役OB選手3選

中谷進之介(ガンバ大阪)

今季、第6節が終了した時点でリーグワーストの14と失点の多さに苦しむ名古屋。そんなチーム状態なだけに、2023シーズンまで在籍したDF中谷進之介がいればと感じるファンやサポーターは多くいることだろう。

中谷は2018年の6月に柏レイソルから名古屋へ加入すると、以降2023シーズンまで守備の中心選手として活躍。2021年には日本代表にも選出された国内屈指のセンターバックだ。ガンバ大阪へと移籍した昨季は、38試合すべてに出場。守備に安定感をもたらしただけでなく、4つのゴールを挙げるなど攻撃面でも存在感を見せ、前年まで低迷していたチームを一気に4位へと押し上げる原動力となった。

名古屋は今冬、左利きのDF宮大樹やサイドでもプレー可能なDF原輝綺、空中戦の強さが売りのDF佐藤瑶大といった選手たちを補強。
即戦力を多く迎えて守備陣の強化を図ったが、残念ながら現時点では結果に結びついているとは言い難い。守備を統率する選手という意味でも、もし中谷が今もチームに在籍していればと感じる場面は多くある。

帰ってきて!名古屋グランパスが今頼りたい現役OB選手3選

前田直輝(サンフレッチェ広島)

得点源となれる選手に怪我人の出ている名古屋にとって、FW前田直輝もまた願わくば帰還してほしい選手の1人だろう。前田は2018年7月に当時J2の松本山雅より名古屋へ加入。初年度から18試合に出場し7ゴール4アシストと多くのゴールに絡む活躍を見せた。翌シーズン以降も途中出場が多いながら結果を出し続け、2021年12月にはオランダのFCユトレヒトへ期限付き移籍し海外挑戦も果たしていた。

海外では怪我に悩まされる期間もあり、思うような結果を残せないまま2023シーズン夏に名古屋へ復帰。帰還後は11試合に出場するも目に見える数字を残すことはできず、2024年1月には浦和レッズへ移籍となった。浦和でも切れ味鋭いドリブルから相手ゴールを脅かす積極性に衰えは見られず相手にとっての脅威になり続けていたが、今季分厚い選手層の前に出場機会は必ずしも安定したものではなく、3月27日にサンフレッチェ広島への完全移籍が発表された。

今冬の名古屋はFWマテウス・カストロがチームに戻り、さらに2023シーズンに北海道コンサドーレ札幌で二桁ゴールを挙げていたMF浅野雄也も獲得。得点力のある選手を複数加えた中でも、攻撃的なピースはまだ足りていないと言えよう。だからこそ、今回前田の広島への電撃移籍を受けて、移籍するのなら再び名古屋で輝く姿が見たいと感じるファンやサポーターが多くいても当然ではないだろうか。
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