続く25日のサウジアラビア戦ではスコアレスドローとなったものの、森保一監督率いる”森保ジャパン”は歴代最強との呼び声も高く、2026年開催のW杯本大会に向けて期待が持てる試合を見ることができた。

GK:守護神の座を掴み取った鈴木彩艶
GKは2試合ともスタメン出場した鈴木彩艶(パルマ)が最有力候補に挙げられる。A代表での出場試合数は18。サウジアラビア戦ではピンチの場面でペナルティーエリアを飛び出しヘディングでのクリアを見せるなど安定したプレーを見せた。現所属のパルマ(イタリア1部)でも好セーブを見せ、現地での評価も上々。今の日本代表では不動の守護神と言えるだろう。2番手以下は今回招集された谷晃生(町田ゼルビア)、大迫敬介(サンフレッチェ広島)の国内組2人が鈴木の後を追う。その他、小久保玲央ブライアン(シント・トロイデンVV)やシュミット・ダニエル(名古屋グランパス)などがメンバー入りを争うことになりそうだ。
権田修一(無所属)や川島永嗣(ジュビロ磐田)のベテラン組は、さすがに序列としては下がるだろう。サプライズ的な選出があるとすれば、中村航輔(無所属)あたりか。いずれにしても序列としては鈴木が最優先であることに変わりはないだろう。

DF:冨安不在の穴を埋めることが出来るか
冨安健洋(アーセナル)が怪我により離脱した最終ライン。この3月は、板倉滉(ボルシア・メンヒェングラートバッハ)と伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)が中心となった。板倉の長身を活かした守備はセットプレー時に不可欠で、体を張った球際の強さも現在の森保ジャパンにとっては必要だろう。3月開催試合で3バックを採用した森保監督は、バーレーン戦で板倉と伊藤の相方に瀬古歩夢(グラスホッパー)、サウジアラビア戦では高井幸大(川崎フロンターレ)を起用したが、比較すると高井が評価を上げたと言えるだろう。3バックの右でA代表初スタメンを飾った高井は、20歳ながら落ち着いたプレーで相手の攻撃を潰していた。また守備面だけでなく足元の技術にも定評があり、サウジアラビア戦ではチャンスの起点となるパスも演出した。冨安のほか、谷口彰悟(シント・トロイデンVV)もアキレス腱断裂の怪我で長期離脱となっている日本の最終ラインは決して選手層が厚いとは言えないが、3バックを継続するのであれば高井のさらなる成長に期待したい。
今後、中山雄太(町田)や関根大輝(スタッド・ランス)は序列を上げることができるか。また、3月はメンバー外となった町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)、橋岡大樹(ルートン・タウン)、チェイス・アンリ(VfBシュツットガルト)らが割って入ることができるか。U-20日本代表として活躍する市原吏音(RB大宮アルディージャ)など飛び級でのサプライズ選出があるかも注目しておきたい。

MF:欧州組の中で抜け出すのは?
豊富なタレントが揃う中盤から前線にかけては混戦模様と言える状況だ。まず、ボランチのポジションでは主将の遠藤航(リバプール)と守田英正(スポルティング)が最有力だ。この2人を追うのが旗手怜央(セルティック)と田中碧(リーズ・ユナイテッド)、藤田譲瑠チマ(シント・トロイデンVV)の3人だろう。守田はバーレーン戦後、負傷より代表チームを離脱しており今後の状況が気がかりではあるが、これまでの戦いでは遠藤と共に攻守両面でチームを支えてきたことから主力であることは間違いない。その他、佐野海舟(1.FSVマインツ05)や田中聡(広島)なども候補になりそうだが、序列としてはやや下になるだろう。
ウイングバックは堂安律(SCフライブルク)、三笘薫(ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン)、伊東純也(スタッド・ランス)の3人が現時点での最有力候補だろう。この3人に続くのがサウジアラビア戦でスタメン出場した中村敬斗(スタッド・ランス)と菅原由勢(サウサンプトン)だと考えられる。
三笘はこれまで度々コンディション不良により招集が見送られるなど、別メニュー調整となることが多く安定感の面ではやや不安が残るものの、これまでの活躍から森保監督からの信頼は厚い。万が一、三笘が招集できない場合の第一候補としては中村か。ほかに長友佑都(FC東京)や毎熊晟矢(AZアルクマール)なども候補として挙がりそうだが、中心になるのは前述の5人と考察する。
前線の2列目は久保建英(レアル・ソシエダ)、南野拓実(ASモナコ)、鎌田大地(クリスタル・パレス)らが名を連ねており、久保と鎌田はバーレーン戦でゴールし見事な結果を出した。彼ら3人は現時点での中心選手と言えるだろう。
2番手以降の候補は、川辺駿(広島)や伊藤涼太郎(シント・トロイデンVV)、三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム)などはどうだろうか。A代表での経験こそ多くはないものの所属クラブでは主力として活躍しており新たな戦力として期待したい。

FW:上田、小川がリードも前田・町野が台頭か
3月戦、1トップの位置には上田綺世(フェイエノールト)、前田大然(セルティック)、古橋亨梧(スタッド・レンヌ)、町野修斗(ホルシュタイン・キール)が起用された。上田は怪我によりサウジアラビア戦は離脱となったものの、序列としては森保ジャパン不動のストライカーとして最有力だろう。さらに今回は招集されなかったが、小川航基(NECナイメヘン)もこれまでの活躍からは中心選手と言える。一方、古橋の所属クラブでの活躍にはやや物足りなさを感じる。かつてスコットランドリーグで得点王を獲得したような輝きを取り戻せるだろうか。その他、国内組に目を向けると細谷真大(柏レイソル)や2024年に磐田で19得点を挙げたジャーメイン良(広島)、AFC U23アジアカップに出場した藤尾翔太(町田)などもいるが、欧州組と比べると序列は下がると言わざるを得ない。
早々とW杯出場を決めた日本代表だが、これから本大会メンバー入りを懸け個人としてのサバイバルが始まる。出場権を掴むのはどの選手なのか。彼らの今後に注目したい。