2025年6月15日に開幕するFIFAクラブワールドカップ2025(以下、クラブW杯)は、今年から新たなレギュレーションに変更され全32チームが参加、日本からは浦和レッズが参戦する。

レアル・マドリード(スペイン)、マンチェスター・シティ(イングランド)、インテル・ミラノ(イタリア)など、世界の強豪クラブが集うこの大会には、これまでにJリーグ所属クラブも計9回出場し、数々の激闘を繰り広げてきた。
ここでは、クラブW杯の歴史の中から日本勢が挑んだ熱い戦いを3戦振り返っていく。

クラブW杯で日本が世界に挑んだ伝説の名勝負3選

鹿島アントラーズvsレアル・マドリード(2016年)

最も世界一に近づいたJクラブは、2016年の鹿島アントラーズだ。開催国代表として出場した鹿島は当時、MF柴崎岳、DF昌子源(現・町田ゼルビア)、FW金崎夢生(現・ヴェルスパ大分)などを擁しており、初戦のオークランド・シティ(ニュージーランド)に2対1で勝利すると、その後も勝ち進み日本のクラブとして初めて決勝進出を果たした。

決勝戦の相手は、MFルカ・モドリッチ、FWカリム・ベンゼマ、FWクリスティアーノ・ロナウドら世界屈指のスター選手を揃え、大会最多優勝を誇るレアル・マドリード。鹿島は試合開始早々に先制点を許したが、前半終了間際に柴崎のゴールで同点に追いつき、後半には再び柴崎がこの試合2点目となるゴールを挙げ逆転に成功した。欧州王者相手にリードを奪う展開に誰もが驚いたことだろう。

その後、ロナウドがPKを決めて同点に追いついた試合は延長戦に突入。さらに97分と104分にもゴールを挙げてハットトリックを達成し、最終的にレアルが4-2で勝利を収めた。鹿島は惜しくも準優勝という結果に終わったが、欧州王者相手に一時はリードを奪い延長戦にまで持ち込んだ激闘は、クラブW杯の中でも語り継がれる名勝負となった

クラブW杯で日本が世界に挑んだ伝説の名勝負3選

浦和レッズvsミラン(2007年)

2007年の浦和レッズは、開催国枠ではなくアジア王者(AFCチャンピオンズリーグ2007優勝)としてクラブW杯に初出場した。当時のチームには、田中マルクス闘莉王(2019年現役引退)、小野伸二(2023年現役引退)、長谷部誠(2024年現役引退)など浦和の黄金期を支えた選手たちが名を連ねており、セパハン(イラン)に3対1で勝利し準決勝に駒を進めた。

準決勝の相手はUEFAチャンピオンズリーグを制し欧州王者として出場したミラン(イタリア)。カカ(元ブラジル代表)やアレッサンドロ・ネスタ、アンドレア・ピルロ(共に元イタリア代表)など、当時の主力には現在引退している名選手たちも名を連ねていた

試合は後半にミランがMFクラレンス・セードルフのゴールで先制。浦和も反撃に出るが及ばず、1-0でミランが勝利し決勝へ進んだ。欧州王者に敗れた浦和は、3位決定戦でエトワール・サヘル(チュニジア)と対戦しPK戦を制して3位で大会を終えた。
なお、この年の大会では浦和に所属していたFWワシントン(2006年~2007年在籍)が3得点を挙げ、大会得点王に輝いている。

浦和は2017年と2023年にもクラブW杯に出場しており、2025年大会が4度目の出場となる。これは日本のクラブで最多の出場数だ。これまでとは出場チーム数やレギュレーションなど異なる点もあるが、浦和が世界を相手にどのような戦いを見せるのか注目したい。

クラブW杯で日本が世界に挑んだ伝説の名勝負3選

柏レイソルvsサントス(2011年)

2011年のJ1優勝チームとしてクラブW杯に開催国枠で出場した柏レイソル。オークランド・シティとの初戦を2-0で勝利すると、続く準々決勝では北中米王者のモンテレイ(メキシコ)を破り、準決勝では南米王者サントス(ブラジル)と対戦した。

柏はDF酒井宏樹(2009年~2012年在籍)、大谷秀和(現・柏コーチ)、レアンドロ・ドミンゲス(2010年~2014年在籍/2025年4月死去)など、リーグ戦と同じく主力メンバーで試合に挑んだ。一方のサントスは当時19歳のネイマール(現サントス)に大きな注目が集まった。

試合は前半19分にネイマールのゴールでサントスが先制。柏は後半に酒井が1点を返すも結果は3-1でサントスが勝利した。試合には敗れたものの、柏はサントスを上回る17本のシュートを放ちボール支配率も52%を記録。日本のクラブが世界でも互角に戦えることを示した1戦だったと言えるだろう。


なお、この試合でゴールを決めネイマールの圧倒的な個人技に対して粘り強い守備を見せた酒井は、その活躍が高く評価され翌2012年6月にハノーファー96(ドイツ1部)へ移籍している。酒井にとっては、欧州初挑戦のきっかけとなった大会でもある。

ほかにも、これまで日本からはガンバ大阪とサンフレッチェ広島がクラブW杯に出場している。2025年大会には浦和が参加するが、この大会で得られる経験は日本サッカー全体の国際的な価値を高める重要な要素となるだろう。Jクラブの底力を世界に見せつけることができるか、浦和の戦いに期待したい。
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