来たる7月27日(日)から8月3日(日)にかけての8日間、神奈川県・川崎市のカルッツかわさきを舞台に開催される『ジャンプロープ世界選手権大会』。それに先駆けて25日、川崎市役所本庁舎にて記者会見が行われた。


アクションスポーツを専門に取り上げるFINEPLAY編集部だからこその視点を交えながら、この一日の様子をお伝えしていく。

会見には川崎にゆかりのある日本代表選手が参列した。
(左から)稲葉選手・李選手・「FORTH」市川選手・柴田選手・白井選手・杉本選手・工藤選手

ジャンプロープ世界選手権とは

『ジャンプロープ世界選手権』(英名:WORLD JUMP ROPE CHAMPIONSHIPS 2025)
7月27日(日)から8月3日(日)までにかけて行われる、ジャンプロープの世界選手権大会。ダブルダッチやシングルロープ(単縄)を含めた、いわゆる“なわとび”の世界大会だ。今回は32の国と地域から、のべ2600名の選手が参加する。
なかでも、編集部独自の注目ポイントを2つご紹介しよう。

昨年の7月には同会場でアジア選手権大会が行われた。当時の開会式のようす

■ 独自視点①:初となる日本開催
世界大会へはこれまでも、記録上1996年から国内組織が派遣を行い続けてきた。その歴史の中で、日本で世界選手権大会が開催されるのは初のことだという。

■ 独自視点②:新種目の導入
そしてこの世界選手権から、パフォーマンス・スピード(駆け足跳び)の大会『DOUBLE DUTCH CONTEST』が、世界選手権の正式種目に追加され新たなスタートを切る。
つまり、前年度までは独立した大会だった“DDC”がこの世界選手権と一体化。これによって、ジャンプロープ業界のさらなる発展にブーストをかけていく狙いだ。

見どころは?

世界選手権の運営組織である国際組織「International Jump Rope Union」(以下、IJRU)に、日本人から理事の一人として名を連ねている原竹 純氏。
国内組織「日本ジャンプロープ連合」でも事務局長を務めている同氏は、この選手権大会の見どころについてこう総括する。

■ 日本勢の躍進に期待
日本勢はジャンプロープ業界では強豪国の一角を担っている。フリースタイル・スピード種目、ともに優秀な成績を収めている選手が多い。
つまり、それぞれの年齢・性別のカテゴリで、日本トップチームはメダル獲得の可能性が非常に高いということである。初の自国開催となった選手たちの活躍に期待が集まる。

デモストレーションで技を披露する李選手。
グリップ(持ち手)が外れてしまうアクシデントにも、即座に対応する技術の高さを見せつけた

■ 初となるDOUBLE DUTCH CONTESTの種目化
元々アメリカにルーツがあるダブルダッチは、日本に取り入れられて独自の進化を遂げた。特に音楽と動きが一体化するパフォーマンスの分野においては、日本はあらゆる大会で成果を挙げ続けているため、こちらもメダル獲得の可能性は極めて高い。今年から新たなスタートを切るDDCの“初陣”、そしてこちらも日本勢の活躍に注目だ。

■ 32の国と地域から参戦
今大会には多くの選手が、世界各国から集結する。その中でも香港・中国・韓国のアジア圏や、アメリカ・ベルギー・ドイツ・オーストラリアを強豪国として挙げた原竹氏。
初となる日本開催でジャンプロープが活気付くことに喜びを示す一方、強豪たちを相手する日本勢の躍進を願い「日本なら大丈夫だと思っています」と赤裸々な思いも覗かせた。

また、ここからは会見に同席していた選手たちの声から、見どころをいくつかご紹介していこう。

稲葉海哉選手は、シングルロープのスピード種目について記者から尋ねられた際、このように答えた。

■ 最高峰の選手たちのプレー
シングルロープ・ダブルダッチ、共に出場する稲葉海哉選手。
シングルロープの30秒スピードについて記者から質問された際、トップクラスになると110回~115回ほど跳ぶという。競技ルールとして右足の着地回数のみカウントされるため、これを両足で換算すると220~230回。1秒あたり7~8回の計算になるという。
世界最高峰の選手たちの“神業”からも目が離せない。

デモンストレーションで技を披露する稲葉選手

■ ロープが生む心理的な繋がり
稲葉選手と同じチームで出場する李 大希選手は、チームとの時間を「家族よりも長い時間を過ごし、負の面から良い面まで、1年間たくさん見てきた」と振り返った。
またダブルダッチ種目で出場する市川 快選手は、「(ジャンプロープは)ただの一競技ではなく、ロープで物体的にも心理的にも人が繋がる、心が通っていくスポーツ」と語る。
人との関わりが希薄になっているとされる現代に、このジャンプロープという競技が、原始的なコミュニケーションや絆の大切さを再認識する機会となるだろう。是非とも選手たちの人間模様にも向けていただきたい。

デモンストレーションを披露する選手たち

独自視点! 初の国内開催、そこが“カワサキ”である意味

初となる国内開催に喜びを表す選手たち。その中でも、開催地である川崎市に重要な文脈を感じ取っていた。
川崎市は、ブレイキンやダブルダッチをはじめとする“ストリートカルチャーのメッカ”とされる場所。

ダブルダッチから端を発し、現在ではこのジャンプロープ世界選手権の日本国内予選や、大学生・高校生の全国大会も川崎市で開催されている。

柴田恵理選手は「3年間川崎市でレッスンを担当したり、練習も幾度となく行ってきた、ホームのような場所」と語ったほか、白井冬馬選手は「ジャンプロープの大会=川崎、というイメージが元々あった。そんな場所で行われる選手権に、日本代表として舞台に立てることが嬉しい」と喜びを滲ませる。

また工藤美怜選手は出場チーム『FORTH』の名前の由来を振り返り、「誰かのために、という部分を大切にしてきた。自分のためだけでなく、お世話になった方々や大会運営に尽力されている方々のために全力で臨みたい」と語った。

会見に登壇した選手たちが発したのは、先の市川選手の言葉を象徴するように、この大会にかける意気込みにとどまらず、周囲への感謝と愛情であったように思う。

デモンストレーションを行う「FORTH」

ついに開幕!

最後に原竹氏は、国内での世界選手権の開催について「一つの夢でもあった。大会はまだ始まっていないが、既に準備が始まっている。そこにいるボランティアの方を含めたスタッフの皆さんの姿を見て、もう泣きそうになっている。この規模の大会を日本で開催されることが光栄です」と語ってくれた。

大会が始まり、いよいよ日本・川崎市が世界への扉となる。たった1回、たった1点がものを言う厳しい舞台だ。しかし、そこには数字で表すことのできない、測り知れないほど多くの人々の思いがある。


そのすべてを原動力にした選手たちのロープが、日本を舞台に回り始める。

開催概要

「WORLD JUMP ROPE CHAMPIONSHIPS 2025」
開催期間:2025年 7月27日(日)~8月3日(日)
会  場:カルッツかわさき(神奈川県川崎市)
主  催:国際ジャンプロープ連合 (International Jump Rope Union:IJRU)
共  催:川崎市
事業主管:一般財団法人 日本ジャンプロープ連合(Japan Jump Rope Union:JJRU)
参加国 :オーストラリア/オーストリア/ベルギー/バミューダ/カナダ/中国/チェコ/デンマーク/フランス/ドイツ/グアテマラ/香港(中国)/ハンガリー/インド/イスラエル/日本/ケニア/大韓民国(韓国)/マカオ(中国)/マレーシア/ニュージーランド/パキスタン/ポルトガル/プエルトリコ/シンガポール/南アフリカ/スウェーデン/スイス/チャイニーズタイペイ(台湾)/タイ/オランダ/アメリカ合衆国

■ スケジュール・各日内容

7月27日(日)IOT(※1)スピード&フリースタイル7月28日(月)IOT スピード&スリースタイル
開会式7月29日(火)WC(※2)チームスピード
WCチームフリースタイル7月30日(水)WCチームフリースタイル
WCスピード&フリースタイル7月31日(木)WCスピード
JWC(※3)スピード&フリースタイル8月1日(金)JWCチームスピード&チームフリースタイル
チームショー8月2日(土)JWC・DDC(※4)
WC・DDC
決勝戦&DDC8月3日(日)決勝戦&DDC

※1「IOT」インターナショナル オープン トーナメント:本大会の出場権を持たない選手が試技を披露する
※2「WC」シニア部門
※3「JWC」ジュニア部門
※4「DDC」ダブルダッチコンテスト:音楽に合わせ跳びながらダンスや技を披露する

The post 川崎が世界への扉に。初の日本開催への思い──「ジャンプロープ世界選手権大会」大会直前セレモニー first appeared on FINEPLAY.

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