日経平均;26850.53;+32.00
TOPIX;1908.74;+10.39
[後場の投資戦略]
連休明けの日経平均は朝方に一時200円超下落したが、その後切り返し小高い水準で前場を折り返した。米金利上昇を受けた値がさグロース株の下落が日経平均を下押しする一方、金融や自動車、市況関連を中心としたバリュー(割安)株には買いが入っており、東証プライム市場全体としても値上がり銘柄の方が多い。
新興株ではマザーズ指数が-2.53%と大幅に4日続落。日足チャートでは足元じりじりと下落を強いられており、取引時間中としては3月16日以来の安値を付けている。グロース株安の流れが逆風となり、メルカリなどの主力IT株は総じて軟調だ。
さて、パウエルFRB議長が0.75ptの大幅利上げに消極的な姿勢を示し、4日の米市場は金利低下・株高で反応したものの、翌5日にはそれ以上の幅で金利上昇・株価下落する格好となった。
「OPECプラス」の緩慢な増産、労働生産性の低下や労働コストの上昇を示す米経済指標などからインフレ懸念は拭えない。英中銀は10~12月期にも消費者物価指数(CPI)上昇率が「10%をやや上回る」とし、2023年の経済成長見通しをマイナスに下方修正したこともインパクトのあるニュースだった。
「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)はFOMCと前後して低下する場面もあったが、5日には再び31.20(+5.78)と30台に乗せている。VIXの高止まりは4月28日の当欄「『決算序盤の情勢』と『米市場にくすぶる懸念』」でも懸念材料として触れたが、FOMC後のV字上昇を見ると、やはり下方リスクに警戒する動きは後退しづらいものと考えざるを得ない。
ただ、円安を支えに底堅さを見せる日経平均もさることながら、NYダウも2月24日の取引時間中に付けた安値(32272.64ドル)を割り込んでおらず、「インフレのピークアウト」や「米経済の堅調維持」への期待が根強いことを感じさせる。
結局、パウエル氏の発言で足元の投資論争に決着を見たわけではないと考えると、FOMCを通過して金融市場に大きな変化があったわけでもないだろう。今晩の米国では4月の雇用統計の発表が控えており、来週11日には消費者物価指数(CPI)、翌12日には卸売物価指数(PPI)と重要指標の発表が相次ぐ。引き続き経済指標や要人発言を睨み不安定な相場展開が続くとみておいた方がよいだろう。
(小林大純)