今週の新興市場では、マザーズ指数、日経ジャスダック平均ともやや上昇した。マザーズ指数は2週連続の上昇となる。
2月4日に発表された米1月雇用統計が強い内容だったことで米金利が大きく上昇し、週前半はグロース(成長株)色の強い新興株に売りが広がった。しかし、週半ば以降は米ハイテク株高が安心感につながり、主力IT株を中心に買いが入った。もっとも10日は売買代金がまずまず膨らみ、米1月消費者物価指数(CPI)発表や3連休を前に上値で利益確定売りが出たことが窺えた。なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.9%であったのに対して、マザーズ指数は+0.2%、日経ジャスダック平均は+0.2%だった。

個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリが週間で2.2%高、ビジョナルが同6.0%高と堅調。売買代金上位ではサイエンスアーツやアスカネットが大幅に上昇した。
また、中部電力との資本業務提携が材料視されたカラダノートは週間のマザーズ上昇率トップとなった。一方、フリーが同7.6%安、FRONTEOが同6.9%安と軟調。決算発表のBASEも売りに押された。また、「Go To トラベル」給付金を巡り調査委員会を設置した旅工房などが下落率上位に顔を出した。ジャスダック主力ではハーモニック・ドライブ・システムズが同6.3%高と堅調。決算発表後に買い優勢となった。
売買代金上位では、前の週に上場したセイファートが活況。また、ツクイスタッフが週間のジャスダック上昇率トップとなった。一方、日本マクドナルドHDは同1.7%安、東映アニメーションは同7.4%安と軟調で、佐渡汽船などが下落率上位に顔を出した。IPOでは、2月9日上場のライトワークスが公開価格を42.9%上回る初値を付け、その後も連日でストップ高となった。

来週の新興市場では、くすぶっていたリスク要因が今週末にかけて顕在化してきたことで、週初から波乱の展開となる可能性がある。米1月CPIが市場予想を上回り、米10年物国債利回りは一時2%台に上昇。
また、米高官がロシアによるウクライナ侵攻について「脅威は差し迫っている」などと述べ、日本の連休中に米国株は連日の大幅安となった。個人投資家が取引主体、かつ新興グロース株中心のマザーズでは一段と逆風が強いだろう。

来週は、2月14日にFRONTEO、Appier Group、フリー、メドレー、フェローテックHD、ウェルスナビなどが決算発表を予定している。ウェルスナビは前期業績の上方修正を発表済み。マザーズ主力の一角であるフリーや個人投資家に根強い人気のあるFRONTEO、半導体関連のフェローテックHDなど、決算発表シーズン最終盤に注目企業が多くある。

IPO関連では、2月17日にエッジテクノロジーがマザーズへ新規上場する。
AI(人工知能)実装支援などを手掛けるが、従前は当初想定価格からの仮条件下振れを警戒する向きが多かった。ただ、同様の条件変更が相次いで環境変化に合わせたものと受け止められつつあるようだ。なお、今週はRepertoire Genesis(3月18日、マザーズ)の新規上場が発表される一方、トリプルアイズが上場中止となっている。