今週の日経平均は週間で1861.29円安(-6.69%)と5週ぶり大幅反落。終値では13週、26週など主要な移動平均線を軒並み下回った。
日経平均は週初から836.85円安と大幅下落。米5月消費者物価指数(CPI)が予想を上回り、40年ぶりの高い伸びとなったことでインフレピークアウト期待が消失。6月のミシガン大学消費者マインド指数が過去最低に落ち込んだことで景気後退懸念も強まった。その後も、連邦準備制度理事会(FRB)の急速な金融引き締めを織り込む形で金利が大幅上昇するなか、売りが続き、14日は357.58円安、15日は303.70円安と続落。
16日は5日ぶりに反発。イタリア国債利回りの急騰を受けて欧州中央銀行(ECB)が緊急会合を開催、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)で購入した債券の償還金再投資を示唆したことが安心感をもたらした。
週末はリスク回避の動きが強まり、468.20円安と急反落。スイス国立銀行(中央銀行)が予想外に2007年以来の利上げに踏み切ったほか、英イングランド銀行(同)も5会合連続での利上げを実施し、世界的な金融引き締めの加速が警戒された。米国の経済指標が軒並み予想を下回ったことも投資家心理を悪化させた。
■調整長期化か、パウエル議長の議会証言に注目
来週の東京株式市場は上値の重い展開か。世界的な利上げの加速や、積極的な引き締めが景気後退を招くオーバーキルへの懸念がくすぶり、軟調な展開が続きそうだ。
パウエル議長は0.75ptの利上げが異例であることを強調したが、インフレのピークが見通せないなか、今後の物価指標次第では利上げペースの加速は十分にあり得る。不透明感は根強く残り、相場の反発基調は期待しにくいだろう。また、今回のFOMCでは四半期に一度の政策金利・経済見通しが公表された。政策金利見通しの中央値が大幅に引き上げられた一方、22年の経済成長率は潜在成長率の1.8%を下回る1.7%にまで大きく下方修正された。景気をある程度犠牲にしてでもインフレ抑制を優先する姿勢が示唆されたといえ、今後のスタグフレーション(物価高と景気後退の併存)リスクは高まったといえる。
さらに、今週発表された米国の小売売上高やニューヨーク連銀及びフィラデルフィア連銀の製造業景気指数、住宅着工件数などの景気指標は軒並み予想を下回った。
今週末の下落局面では、新興株よりも東証プライム市場の主力株の方が下落率の大きい銘柄が目立った。17日の東証プライム売買代金は4兆円を優に超えており、短期筋主導の先物売りだけでなく、実需筋の売りも出ていたことを窺わせる。
短期筋による先物主導の下げであれば、状況次第ですぐに買い戻し、相場の反発なども想定されるが、実需筋が売り始めたとなると、相場の反発は当面期待しにくく、調整局面が長引きそうだ。
金融政策イベントが一巡し、来週は経済指標の発表も少ないことから、原油先物価格や米長期金利などの動向を睨んだ展開となりそうだ。米長期金利が一段と上値を試すような展開となると、リスク回避の動きが強まりそうなため、警戒しておきたい。こうした中、FRBのパウエル議長は22日に上院で、23日には下院にてそれぞれ半年に一度の議会証言を予定している。発言内容を受けた金利動向などを注視したい。
■ハイテク株の押し目買いは時期尚早
韓国のテクノロジー大手サムスンがサプライヤーに対して部品出荷の延期を要請したことが伝わっている。在庫が膨らみ売上に対する在庫比率の高まりを抑える為の措置のようで、エレクトロニクス大手がインフレ高進や世界景気の先行きに対して悲観的な見方を持ちはじめたことが推察される。
■5月消費者物価、米5月新築住宅販売など
来週は21日に米5月中古住宅販売、22日に日銀金融政策決定会合議事要旨(4月27~28日開催)、23日に米1-3月期経常収支、EU首脳会議(~24日)、24日に5月消費者物価、5月企業向けサービス価格指数、独6月Ifo景況感指数、米5月新築住宅販売などが発表予定。