ベトナムの代表的な株価指数VN指数は11月末に心理的節目の1000ポイントを回復した後、方向感の乏しい値動きでした。そのまま持ち直すか、あるいは再び軟調地合いに沈むのか注目されましたが、このところ上昇基調を強め1100ポイントを目指す展開となっています。売買代金も増加し、活気を取り戻しつつあります。特に海外勢が買いを膨らませ、銀行や不動産、エネルギーが相場をけん引しています。
VN指数はコロナ禍からの回復を背景に今年3月には過去最高値の1500ポイント台に浮上しました。
ベトナム株の回復は米金融政策と無関係ではありません。ベトナムの消費者物価指数(CPI)は中央銀行の目標上限である4%を最近上回ったほか、通貨ドンの記録的な下落によってインフレ圧力が強まり、企業の借入れコストの増加が収益を圧迫するとの思惑が株価を押し下げてきました。
株価指数への寄与度の大きい不動産の買戻しも足元の株高の主要な要因です。今年に入り、不動産大手のFLCグループの会長が自社株取引に絡む株価操縦の容疑で逮捕されたほか、バンティンファット・グループでも社債取引で不正行為が発覚しました。同グループと関係が深いサイゴン商業銀行で取り付け騒ぎまで発展しました。不動産セクターの相次ぐ不祥事は、株式市場の収縮をもたらす要因となっていました。
ベトナム政府は不動産取引の規制を強めた後に支援に乗り出し、市場に安心感を与えました。
(吉池 威)
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