16日の日経平均は大幅続落。761.60円安の38471.20円(出来高概算19億7000万株)と2月21日以来、約2カ月ぶりに38500円を割り込んで取引を終えた。
米長期金利の上昇が嫌気され、ハイテク株を中心に売られた前日の米国市場の流れを引き継いで、東京市場でも半導体関連など値がさ株を中心に幅広く売りが先行した。また、イランとイスラエルの関係悪化に伴う地政学リスクも相場の重荷となり、日経平均は39000円台を割り込んでスタート。その後も継続的に売りが続き、後場中盤にかけて38322.32円まで下押しした。

東証プライムの騰落銘柄は、値下がり銘柄数が1400を超え、全体の9割近くを占めた。セクター別では、精密機器、医薬品を除く31業種が下落し、海運、石油石炭、保険、非鉄金属の下げが目立った。指数インパクトの大きいところでは、ファナック<6954>、テルモ<4543>、ニデック<6594>、HOYA<7741>がしっかりだった半面、東エレク<8035>、ファーストリテ<9983>、アドバンテス<6857>ソフトバンクG<9984>が軟調だった。


週明けの米国市場は、3月の小売売上高が市場予想を上回る結果となり、米消費の底堅さから利下げ期待が後退し、米長期金利が上昇するなか、主要株価指数は下落した。これが東京市場にも悪影響を及ぼし、ほぼ全面安となった。また、1ドル=154円台へと進んだ円安や中東情勢の緊迫化を背景に原油市況も高値圏で推移しており、輸入物価上昇による国内インフレ圧力の高まりから日銀が利上げを迫られるのではないかとの思惑も拭えず、ヘッジファンドなど海外勢による「債券先物買い・株式先物売り」が活発化したことも株式相場を押し下げる要因となり、日経平均の下げ幅は一時900円を超えた。

中東情勢の緊迫化が下落の要因の一つになっているが、イスラエルとイランの事情を踏まえると、イスラエルがイランに対し報復攻撃に踏み切る可能性は低いとの見方が大勢だ。イスラエルはイスラム組織ハマスとの戦闘が継続中で、イランと報復の応酬に発展すれば大きな負担となる。また、イランは米国の経済制裁などで国内経済が悪化しており、イスラエルとの本格的な交戦は避けたいという意向がある。
目先的には中東情勢の報道に一喜一憂するだろうが、徐々に落ち着きを取り戻すとの見方が多い。