1. 全国に事業展開するコールセンター大手、伊藤忠商事、凸版印刷と資本業務提携
ベルシステム24ホールディングスは国内コールセンター大手で、傘下に子会社4社を持ち、CRM(Customer Relationship Management:顧客管理)を主たる事業として全国で事業展開している。2021年2月末現在、全国37拠点、3万人を超える従業員、国内最大規模のコンタクトセンタークラウド基盤(複数の拠点を1つの仮想コールセンターに統合。
2. 2021年2月期は、大型スポット業務により増収増益を達成
2021年2月期の連結業績は、売上収益135,735百万円(前期比7.2%増)、営業利益11,799百万円(同6.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益7,252百万円(同3.5%増)の増収増益決算となった。業績予想に対して、売上収益は2.8%、営業利益も2.6%上回る順調な決算であった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により、主力のCRM事業の中心である継続業務では新規案件の遅れが発生した。一方、政府の対策としての給付関連書類への問い合わせ対応業務などの大型スポット業務による大幅増収や、そうした環境下での退職率の低下に伴うコスト抑制も増益に貢献した。
3. 2022年2月期も、堅調なアウトソーシング需要を背景に増収増益を予想
2022年2月期業績は、売上収益139,000百万円(前期比2.4%増)、営業利益12,200百万円(同3.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益7,800百万円(同7.6%増)の増収増益を予想する。大型スポット業務終了の反動減はあるものの、社会構造の変化などを受けた堅調なアウトソーシング需要を背景にコールセンター需要は堅調であり、継続業務の伸張により増収を見込んでいる。
4. 中期経営計画では、人材活用、DX推進、アライアンス強化によりさらなる成長を目指す
野田社長のもとで策定した、「中期経営計画2022」(2021年2月期−2023年2月期)の定量目標では、最終年度には売上収益1,480億円、営業利益140億円(売上高営業利益率9.5%)、税引後利益90億円、ROE14.8%、ネットD/Eレシオ0.91倍を目標に設定し、売上収益は年平均5.3%増、税引後利益は同8.7%増を計画する。コロナ禍の厳しい経済環境の中で、初年度の業績はまずまずのスタートであった。
■Key Points
・全国に事業展開するコールセンター大手で、伊藤忠商事、凸版印刷と資本業務提携
・2021年2月期第の連結業績は、売上収益135,735百万円(前期比7.2%増)、営業利益11,799百万円(同6.3%増)の増収増益決算。コロナ禍の影響により、スポット業務の拡大が寄与。好決算は、社会インフラとしての役割を果たした証左。営業利益率、自己資本比率が高く、収益性・安全性は極めて高い。配当は、前期並みの年間42円
・2022年2月期も、売上収益139,000百万円(前期比2.4%増)、営業利益12,200百万円(同3.4%増)の増収増益を予想。
・「中期経営計画2022」では、最終年度の2023年2月期には、売上収益1,480億円、営業利益140億円など、意欲的な目標。初年度は厳しい環境下、まずまずのスタート。人材活用、DX推進、アライアンス強化の重点施策により、目標達成に向けて成長を図る。同時に、社会的課題への対応にも前向き
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)