1. 中期経営計画
社会構造の変化やデジタル化を背景に技術革新のスピードが加速している。こうした経営環境の変化に対応するため、日本電技<1723>は長期経営指針「ND For The Next 2030」を策定した。
「フェーズ1」は成長基盤の構築を図る
2. 「フェーズ1」の成長戦略
「フェーズ1」は長期経営指針「ND For The Next 2030」の第1フェーズとして、成長するための課題を明確にし、成長基盤の構築・強化に取り組む。そのための成長戦略は「既存事業の強化」「拡大戦略の実行」「ND企業文化の成長」の3つであり「既存事業の強化」では空調計装関連事業の安定成長、「拡大戦略の実行」では産業システム事業の体制構築、「ND企業文化の成長」ではサステナビリティ経営に取り組む。
(1) 既存事業の強化
空調計装関連事業は将来、人口減少などから厳しい受注環境になることが予想されるため、全社の最適化を目的に経営資源を投下することで、建物運用ソリューション事業者として確固たるポジションを築く方針である。
(2) 拡大戦略の実行
産業システム関連事業は、高い成長性が予想されることから、全社の経営資源を集中し、空調計装関連事業に並ぶ中核事業へと育成する方針である。具体的には、足元で既に進めているものもあるが、中途採用による専門人材の確保、事業部サイトの制作など販促ツールの拡充、食品メーカーや食品製造機械などに対する営業効果の高い展示会への出展といった事業基盤づくりの投資を強化している。「フェーズ1」はまだ種まき期間だが、ジュピターアドバンスシステムズ(株)が高い知見を有する生産管理システムを取り込む一方、成長に弾みをつけるため事業部制を導入して「産業ソリューション事業部」を新設した。
(3) ND企業文化の成長
中長期的な企業価値の向上を目指して、「人的資本の充実」「働き方改革の推進」「ガバナンスの徹底」を推進する。「人的資本の充実」では、中堅や若手社員の早期戦力化、経営人材など人材の育成、採用強化による量的・質的な人員確保を進める。「働き方改革の推進」では、ワークライフバランスや人材・働き方の多様化、健康経営の推進など従業員とのエンゲージメントを推進する。「ガバナンスの徹底」では、取締役会の実効性確保、独立社外取締役の活用、経営の透明性確保、株主との建設的対話に向けた情報開示の充実などを進める。また、2030年のあるべき姿の実現へ向けて、サステナビリティ経営への取り組みも開始する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)