1. 今後の事業展開
不動産開発創造事業において、同社は今後も引き続き、新築マンション開発事業とリノベーション再販事業の強化を図り、シナジー目的で必要があればスタートアップ企業への出資などM&Aも推進する方針である。新築マンション開発事業では、人員体制や社外ネットワークを継続的に強化することで、東京23区を中心に開発数を月2棟のペースで増やす方針である。
このほかの事業に関しても、情勢を見ながら着実に展開する方針である。新築戸建・宅地開発事業については、共同事業を中心とした開発を推進する予定だが、土地の取得費用が高騰しているためマンション開発に比べると抑制傾向が続く見込みである。企画力や推進力を生かせる不動産コンサルティングやプロジェクトマネジメント事業については拡大を図り、オフィス、商業、医療などの複合開発を行う考えである。新たな展開としては、不動産小口化やクラウドファンディングによる個人の資産形成用商品を品揃えし、認知度を高める取り組みがある。一方、ESG関連事業においては、再生可能エネルギー事業や賃料収入を目的とした保有事業を継続し、暮らし関連事業で地域貢献など環境や社会課題解決への取り組みを広げる予定である。
中期2ケタ成長も、人員や資金など戦略的対応が必要
2. 中期成長イメージ
同社は、中期的に上記のような形で事業を展開する考えである。特に主力の新築マンション開発事業では、現在の進捗から見ると遠からず年間20件以上の引き渡しが視野に入ってくると考えられ、引き続き同社の成長をけん引すると見られる。敷地面積など条件によっては、従来のマンションよりワンサイズ大きいミドルクラスの新築マンションや分譲マンションへと領域を拡大する可能性もある。
ただし、企業規模の拡大に伴って、人員・組織の強化や資金調達方法の改善は避けて通れず、戦略的な対応が必要となろう。人員・組織の強化には採用を増やすことが必要で、実際に同社は足もとでトライしているところである。資金調達に関しては、従来の借入偏重から資産の入れ替えや直接金融についても検討しているが、実際に同社は足もとで太陽光発電施設の売却に向けて一部の資産入れ替えを始めた。また、初配当も行っており、条件が満たされれば東証スタンダード市場への上場を検討すると思われる。成長戦略やこうした戦略的対応を包括した中期経営計画の策定が待たれるところだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)