2月12日には、2025年3月期業績予想の下方修正を発表している。
足もとでは、メディアセグメントのカンファレンス広告サービスおよび人材紹介サービスにおいて、法律分野以外の専門領域の売上が急拡大には至らず当初計画を下回っている。一方、主力事業であるIT・ソリューションセグメントのクラウドサインサービスは、当初計画を若干下回っているものの、電子契約サービスへの高い社会的需要を背景に、今期における新規有料企業数、1社あたり平均単価、新規経常収益額はいずれも過去最高となる見通しだ。全社のARRは118.5億円(前年同期比18.3%増)、うちクラウドサインは72.1億円(同29.4%増)、弁護士ドットコム他は46.4億円(同4.3%増)。特にクラウドサインは12月の料金変更による効果もあり、固定売上が12月単月で予算を達成、期初計画を上回る成長軌道に転換増収効果はARRで3億円以上、クラウドサインのARRを5%押し上げている。
なお、主力の「クラウドサイン」は、契約締結から契約書管理まで可能なクラウド型の電子契約サービス。契約交渉が済んだ完成済の契約書をアップロードし、相手方が承認するだけで契約締結可能で、書類の受信者はクラウドサインへの登録は不要となる。契約締結のスピード化、コスト削減などの導入メリットがあり、1ユーザー契約送信件数3件/月まで無料で活用できる。有料プランは固定費用に加えて、送信件数ごとに200円/件。クラウドサインは大企業・地方自治体を中心に導入が進んでおり、地方自治体は378自治体のうち253自治体がクラウドサインを導入済み(シェア約70%)。
「弁護士ドットコム」は、一般ユーザーと弁護士を繋ぐプラットフォーム。無料の法律相談や弁護士に関する詳細な情報を元に、ユーザーがより弁護士に繋がりやすくなるサービスを提供している。
弁護士業界は弁護士広告の解禁、弁護士報酬の自由化、新司法試験の実施など、2000年以降の司法制度改革により大きな変化が起きている。弁護士数の増加に伴い弁護士のマーケティングニーズの高まりから顧客開拓が進み、弁護士報酬市場は2000年から拡大しており、今後も増加基調が続こう。市場の追い風に伴って弁護士領域は弁護士ドットコム・判例秘書・弁護革命とのグループ連携を推進しており、クロスセルも順調に推移して安定的な収益を確保している。また、クラウドサインなどの電子契約市場は、上場企業のシェアでみると普及しつつあるが、個別の企業ごとでは全ての部署が利用していることはなく、利用率は少ない現状がある。こういった企業内での利用率を高めることでまだまだ売上高・利益の拡大余地が残っており、契約送信件数の増加から底堅い収益が積み上がっていく。