3. 同社の強みや特徴、企業理念
(1) 強みと特徴
同社の強みは、システム設計から開発、運用までをワンストップで提供できる体制を構築していることに加えて、同一顧客に対して正社員エンジニアが長期常駐することで高品質なサービスを提供し、顧客満足度を高めながら緊密な関係を構築している点が挙げられる。また、顧客の課題やニーズを抽出し、こうした課題に対して複数の自社製品やサービスを組み合わせて提案を行い(クロスセル、アップセル)、課題解決に導くソリューション力を持つことも強みとなる。
2024年12月期(単体)における大企業の売上構成比率は80%を占め、顧客の業種も製造業から小売業、サービス業、金融業など多岐に広がっている。このため、特定業種の好不況の影響を受け難いほか、ストック型取引(6ヶ月以上継続する顧客との取引)の売上比率が90%以上、解約率※1が年6%未満と低いことから、IT業界のなかでは比較的安定性の高い収益構造になっている点も特徴であり、強みの1つと言える。エンジニアの離職率については、2024年12月期で7.6%と業界平均の12.4%※2を大きく下回っている。
※1 年間解約社数÷年間のストック型取引社数。
※2 出所:「令和5年 雇用動向調査結果の概要」より情報通信業の一般労働者の離職率。
(2) 企業理念
同社は、すべての従業員の行動指針となる心構えを「社心」と呼び、「信頼はすべての礎なり」を企業理念としている。これはグローバル社会で求められる多様な課題に対して、従業員一人ひとりの個性を尊重して強固な組織の礎を築き上げることが、課題の解決につながり顧客との信頼関係も強くなるという考えから生まれたものだ。社長の故郷である滋賀県大津市の穴太(あのう)地区では、自然のままの石を積み上げて石垣をつくる「野面積(のづらづみ)」と呼ばれる手法がある。不揃いの石を積み上げるには高い技術が必要だが、水はけが良くなるほか地震の揺れにも強いといった長所がある。この「野面積」のように同社も様々な特徴を持つ自然の石(従業員)を積み上げることで、揺るぎない石垣(組織)を築き上げ、顧客とともに成長していきたいという社長の強い想いが企業理念に込められている。
なお、「ロココ」という社名は「こころ(心)」が由来となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)