30日の香港市場は、主要80銘柄で構成されるハンセン指数が前日比49.44ポイント(0.29%)高の17042.88ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が38.67ポイント(0.66%)高の5857.54ポイントとそろって5日ぶりに反発した。売買代金は1391億1930万香港ドルとなっている(29日は1301億6490万香港ドル)。


中国経済対策の期待感が相場を支える流れ。中国の景況感が悪化する中、当局は景気を押し上げるため対策を強めるとの期待が広がった。朝方公表された11月の中国製造業PMIは49.4に低下し、予想(49.8)に反し前月実績(49.5)を下回っている。一方、経済協力開発機構(OECD)が29日公表した経済予測では、「中国経済が7~9月期に底入れした」との見解が示された。過度な景気後退懸念を薄らげさせている。(亜州リサーチ編集部)

ハンセン指数の構成銘柄では、江蘇省拠点の翰森製薬集団(3692/HK)が4.6%高、自動車ディーラー中国大手の中升集団HD(881/HK)とインターネットサービス大手の騰訊HD(700/HK)がそろって3.2%高と上げが目立った。


セクター別では、中国の発電が高い。華能国際電力(902/HK)が6.6%、華電国際電力(1071/HK)が3.2%、華潤電力HD(836/HK)が1.6%、中国電力国際発展(2380/HK)が1.1%ずつ上昇した。

酒造や飲料の銘柄群もしっかり。珍酒李渡集団(6979/HK)が2.0%高、百威亜太HD(1876/HK)が1.5%高、華潤ビールHD(291/HK)が1.0%高、農夫山泉(9633/HK)が1.9%高、中国蒙牛乳業(2319/HK)が1.0%高で引けた。

半面、「ニューエコノミー」関連銘柄の一角は安い。ハンセン科技(テック)指数は0.3%逆行安した。
個別では、動画配信プラットフォームのビリビリ(9626/HK)が11.0%安、企業向けソフトウエア開発大手の金蝶国際軟件集団(268/HK)が7.2%安、新興EV(電気自動車)メーカーの理想汽車(2015/HK)が4.4%安と値を下げている。

他の個別株動向では、民間自動車メーカーの吉利汽車HD(175/HK)が2.9%安の8.51香港ドルで年初来安値。吉利傘下の高級電気自動車(EV)ブランド「極コク(ZEEKR)」は、米国市場での新規株式公開(IPO)を中止する――と報じられている。これまでの報道によると、早ければ12月にもIPOを行う見通しと伝わっていた。

一方、本土市場も反発。主要指標の上海総合指数は、前日比0.26%高の3029.67ポイントで取引を終了した。
エネルギー株が高い。発電株、金融株、医薬株、酒造・食品株、運輸株なども買われた。半面、ハイテク株は安い。自動車株、不動産株、素材株、軍事関連株も売られた。

亜州リサーチ(株)