【テレビ大阪系列・毎週土曜日午前7時放送「フィッシングDAYS」サイドストーリー第16話】番組内で話題になったアイテムについて”深堀”するもう1つの「フィッシングDAYS」。
「フィッシングDAYS」はテレビ大阪を中心に、テレビせとうち、TVQ九州放送、テレビ和歌山、高知放送で放送されている、がまかつ提供・テレビ大阪制作の釣り番組。
ハゼなどの極々小さい魚から、ルアーを使った大型魚釣りまでを、どうやったらより釣れるのかにこだわって制作。
また、釣れた時の釣り人の笑顔にもフォーカスし、釣りの楽しさも徹底的に追求している。
フィッシングDAYS「前西流沖磯攻略 南紀勝浦 山成群島のグレ」


寒グレ真っ盛りの和歌山・勝浦の磯は、大型狙いから数釣りまで多彩なフィールドあり
和歌山・那智勝浦町の磯群は西に太地、東に宇久井と磯釣りの有名フィールドが並ぶ一大人気エリアだ。
特に寒グレ期の冬場に吹く北西の季節風が紀伊半島でシャットアウトされ、寒波が到来した際にも問題なく竿が出せるため、釣行計画が立てやすいのが魅力だ。
また、グレ釣りの磯としては、沖に位置し、大型口太や尾長グレの実績がすこぶる高い山成群島をはじめ、オジャウラ、鶴島、乙島などのエリア、さらには湾内の磯など、荒々しい磯から波静かな磯まで多彩な顔を持つ。
そのため全天候型の磯釣り場として知られ、各種磯釣りの大会なども頻繁に行われている。
グレのほか、イシダイやクエなどの底物の実績も高く、上物師、底物師がこぞって通う紀伊半島でも有数の人気磯釣りフィールドである。
この磯エリアで渡船店を営む清丸渡船の井筒清和さんは、全国に名の知れたグレ釣り師でもあり、釣り師へのアドバイスや磯選択の際の相談にも的確に答えてくれる。

前西喜弘さんがショートな「がま磯スーパープレシード1.25号4.7m」を愛用するワケ
磯竿の長さは、古くは5.4mや5.3m、そして5.0mへと、年々短くなってきたが、現在は短く軽い5.0mを使用する人が多いのが現実だろう。
また、やり取りの面でもこのレングスに不満を感じる人が少ないのは、この長さがおおいに浸透している証拠だろう。
ただ、それ以上短くなると…。
磯竿のラインナップを見ても、5.0mよりも短いスペックの竿は極端に少ないのが現状だ。
ところが、前西さん自身は堤防のフカセ釣りチヌや、磯グレでもさらに短い4.7mを愛用する。
今回の紀伊勝浦でも大型グレを狙って使用したのが「がま磯スーパープレシード1.25号4.7m」というショートな竿である。
その理由をうかがうと「やはり軽いので一日釣っていても疲れないのが一番の理由ですが、それだけではないですね」と話す。
詳しく聞いてみると、釣り場、特に磯釣りなどでは風が静かな日といっても、全くの無風はあり得ない。
そんな中で竿を振り続け、仕掛けの投入、道糸のメンディングなどを考えた際に、4.7mというスペックは非常にやりやすい…とのことだ。
では、磯でのやり取りはどうだろうか。
「全く…4.7mだから取れなかった…という魚はいませんね。ま、これは今日、魚を掛けた時に見てもらえば分かりますよ(笑)」とも。

がまかつ がま磯スーパープレシード 1.25-4.7

がまかつ伝統の本調子を再現し、胴調子寄りながら操作性抜群の「がま磯スーパープレシード」とは
今回、前西さんが紀伊勝浦の磯グレ用にチョイスしたのが「がま磯スーパープレシード1.25号4.7m」だ。
名竿と呼ばれ人気の高かった「がま磯プレシード」の伝統的な調子を受け継ぎつつ、さらに軽量化、操作性の向上などを追求して開発されたのが「がま磯スーパープレシード」だ。
「伝統的な調子」とは、がまかつの竿の中で「本調子」と呼ばれる調子で、しなやかに曲がり込む驚異の粘りで魚の引きを受け止める。
ただ、いわゆる胴調子というわけではなく、仕掛けの操作性などは張りのある調子で、いざ魚を掛けるとしなやかに曲がり込んでくれ、魚を怒らせることなく浮かせることができる…というアクションを見せる。
つまり操作性と曲がり込む粘りで、この竿を使うことにより、ワンランク細いラインを使用できる…というアングラーも多い。
竿のラインナップとしては、チヌなどをターゲットした0.2号の細い号数から、尾長グレ狙い用に設計された2号までが揃う。
ちなみに4.7mのショートタイプは1.25号のみの設定だ。



ウネリのある当日は山成群島の「一の島」へ渡礁も、潮が動かない悪条件
2月初旬、大型の口太グレをメインに狙って船長と相談の結果、山成群島の一の島へ渡ることになった。
前西さんの本命場所としてはハゲ島を予定していたが、この日はウネリが大きく、山成群島の中でも、もっとも沖に位置するハゲ島の釣り座は波がかぶったままだった。
一の島は多少ウネリの陰に当たるため渡礁には問題なし…との判断。
この磯は地方向き、沖向きともにグレが狙えるため、様子を見ながら釣り座を替えやすいのも特徴だ。
この日の前西さんのタックル構成は、竿が「がま磯スーパープレシード1.25号4.7m」、ハリスは2.5号に、鈎は「A1・TKO」6号からスタート。
ウキはB負荷で、ウキ止めゴムの下にガン玉Bを打ったオーソドックスな仕掛けだ。
現代の磯グレ釣りにおいて、特に口太グレ釣りでは1.25号や1.5号といった細いハリスを使用することが多いが、前西さんは「掛けてからバラすのはよくないので、掛ければ取る。それよりも太いハリスで食わせる工夫が釣り技術向上につながる」と考え、2号や2.5号の太ハリスを使用する。
沖向きにはウネリによるサラシが出ているが、仕掛けを投入してみると、サラシで滑る海面の流れ以外、下層部の潮は全くといってよいほど動いておらず、投入したウキがいつまで経っても同じ場所に定位している。
足元にマキエを集中し、サラシの脇、沖、少しでも流れているであろう沖の潮目への遠投、または磯際へと潮の状況がよい場所を探るが、釣れてくるのはイソベラ。
潮が流れないので、仕掛けが深く入りすぎるのか…。
ベラがヒットする以外はエサ取りもいない状況だったが、昼を回った頃に、ようやくエサが取られた。
足元にはグレらしき影が見え隠れするが動きは鈍い。
そんな時、磯際でやや沈め気味に探っていた前西さんのウキが一気に消し込んだ。
アワせた途端、「がま磯スーパープレシード1.25号4.7m」がギューンと曲がり込み、強烈な魚の引きを受け止める。
きっちりと角度さえ保っていれば、竿が極限まで曲がり込んで溜めてくれ、その反動でゆっくりと浮かせにかかることができる。
何度かの強烈な突っ込みも、竿のしなやかな曲がりと粘りで受け止め、水面まで魚を浮かせた。
が、これは40㎝を優に超すサンノジ(ニザダイ)。
しかし、こんな大型サンノジの強烈すぎる引きでも全く問題なく対応できる。
やり取りの最中には4.7mの長さを思わせず、比較的簡単に浮かせてしまうこの竿の実力には驚かされた。
ただし、一瞬の興奮もここまで。
この日は終始潮が動かずに、ウネリがやや治まったタイミングでハゲ島に磯がわりするも、状況は全く変わらず、グレの姿を見ることができなかった。

がまかつ(Gamakatsu) シングルフック A1 TKO 6号 8本 ウィードパープル 67594



1週間後のリベンジは再び一の島。潮が動き30cm級連発後に釣り座変更して、口太グレ42cmキャッチ
このままでは、終わることはできない…と、1週間後には再び一の島へと立っていた前西さん。
この日は、前回とは打って変わって、ゆったりと西へと流れる下り潮。
朝からマキエには小型ながらグレの姿も見える。
今回は、まず地方向きに釣り座を構え、2ヒロ半の浅ダナでスタート。
すると早々にウキへの反応が出た。
アワせた前西さんの「がま磯スーパープレシード1.25号4.7m」が心地よく曲がる。
楽しそうに竿を曲げ込んで取り込んだのは30cmほどの口太グレだ。
そこから同じパターンで3匹、4匹とグレを掛ける前西さんだが、サイズが上向いてこない。
そこで、昼からは沖向きの釣り座へ移動して、深めのタナでグレのサイズアップを図る。
釣り座右からのサラシが沖へ流れ、その先で西へと流れる潮とぶつかって壁が出ているのか、泡の筋が確認できる。
ウキ下を竿1本半に設定し、泡の筋へマキエと仕掛けをダイレクトに投入する。
サラシの流れに道糸を取られないように「がま磯スーパープレシード1.25号4.7m」の軽快な操作性を生かし、道糸メンディングを行う。
壁ができているのか、仕掛けがなじむとジワリとウキが落ち着き、そのままゆっくりと水中へ消えていった。
大きくアワせた竿が本調子ならではのきれいな弧を描く。
右へと突っ込まれるとシモリがあるため、魚を左へと誘導する。
竿の短さもあって魚の誘導など、対処も素早くできるようだ。
足元での突っ込みも、しなやかな曲がり込みでグレの引きを受け止めては浮かせにかかると、水面を滑るようにグレが浮いてきた。
かなり大きい。
タモに収めて取り込み、計測すると42cmの立派な口太グレだった。
結局この日は、口太、尾長混じりでグレ30cm前後を7匹と口太グレ42cmをキャッチして、前回のリベンジ成功となった。

●交通:紀勢道のすさみ南ICで下りて国道42号で串本を経て、那智勝浦へ。甫子浦信号を右折して高架をくぐりすぐを右折。トンネルを抜けてすぐを左手前へ。
●問い合わせ:清丸渡船(TEL:0735・52・5574)
(文・写真/松村計吾)