レビュー

2030年から2060年ごろの近未来、テクノロジーによって生活はどう変わり、働き方はどう変わるか。これが本書のテーマだ。

空飛ぶ車が上空を行きかい、人々はウェアラブルコンピューターを備えた衣服を身に着け、先進的な建造物と草木が調和する未来都市。そんな未来の一端が、本書では紹介されている。エンタメ、食文化、農業、医療、環境など、取り扱われるジャンルは多岐にわたる。
本書の特徴は、ただの空想物語に終始するのではなく、科学的なエビデンスにしっかり則っている点にある。また著者が描く未来はいずれも前向きで、「人類の未来は明るい」と思わせてくれるのもこの本のいいところだと感じた。
2060年は、今からちょうど40年後にあたる。40年前、私たちはどのような生活をしていただろうか。1980年といえば、日本は高度経済成長の真っただ中。家族はちゃぶ台を囲み、ブラウン管テレビの前で食事をする。仕事場にはパソコンもなく、やっとコピー機が普及しはじめ、書類をいちいち書き写さずにすむようになった、そんな時代である。
それが今では、ネットがあればほとんど何でも手に入るようになった。40年でこれほどまでに社会は変わるのだ。
それを考えれば、本書で語られるワクワクするような未来予想図は、決してただの夢物語ではない。フランスの小説家ジュール・ヴェルヌの言葉にもあるように、「人が想像できることは、必ず人が実現できる」のだから。現在20歳であれば、40年後は60歳。30歳であれば70歳。とりわけ若い世代におすすめしたい一冊である。

本書の要点

・新たな技術が次々と生まれており、人類が思い描いた未来予想図へ近づいていることは間違いない。そこで大切になるのが、「テクノロジーをどこに使い、人の手をどこに残すか」という視点だ。
・センシング技術により、空間自体がIoT化していくだろう。蓄積されたデータを活用したビジネスが数多く登場すると予想される。
・農業や漁業でもデータ化が進む。今後懸念される食糧不足は、テクノロジーが解決するはずだ。
・自動運転技術が移動の概念を変える。

社会構造の変化により、街のあり方も変わっていく。



フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に2,100タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。

編集部おすすめ