レビュー

クレジットカードやデビットカード、電子マネーなどを利用する機会もかなり増えた。以前と比べて現金を使うシーンは激減しているので、デジタル通貨と言われてもピンとこなかったのが正直なところだ。

デジタル通貨が生まれても、それほど変わりはないのだろう、と。しかし、その認識はどうやら間違っていたようだ。
ビットコインから始まった仮想通貨は、投資商品として人気を博し、その後の大暴落を経て、アルトコインやステーブルコインなどへと多様化してきた。そこにきて世界中の金融当局を騒然とさせたのが、フェイスブックが提唱したリブラ計画だ。リブラは中央銀行のビジネスモデルを参考にし、現行通貨制度の破壊者となる可能性を秘めていた。リブラの危険性に気付いた金融当局は一斉に懸念を示し、これに対抗している。
一方、仮想通貨は価格変動が激しいビットコインから、価格が安定したデジタル通貨へと進化しようとしている。各国の中央銀行はデジタル通貨には懐疑的だったが、近年その姿勢を急変させている。その理由は、リブラなどの民間企業に通貨の発行主権を奪われることへの危機感だけではない。本書をお読みいただければ、それがよくわかるだろう。
この本は、ビットコインからデジタル通貨へとつながっていく世界的潮流をわかりやすく説明してくれる良書だ。お金は日々の生活と密接に関わっている。
つまり、本書は「すべての消費者」に関係するものである。

本書の要点

・リブラは中央銀行のビジネスモデルを学んでおり、通貨に近いとても良く出来た仕組みだ。そこを金融当局に見破られ、集中砲火を浴びることになった。
・仮想通貨はビットコインの高騰暴落を経て、アルトコイン、ステーブルコインへと多様化した。次なるステップはデジタル通貨である。
・中央銀行デジタル通貨(CBCD)は各国で研究、実証実験が進んでおり、ここ数年で中国など複数の国で運用が始まる。10年後には日本でも生活の中で普通にデジタル通貨を使用しているだろう。



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