レビュー

粉飾決算やデータ偽装など、日本では法令違反やコンプライアンス違反が後を絶たない。競争が激化する現代で新しいビジョンや戦略のないまま、無茶な数値目標を達成しようとすると、行き着く先は「いかさま」しかなくなってしまうのだ。


これまでは「分析」「論理」「理性」を主軸とした意思決定でビジネスを成功に導くことができたかもしれない。しかし複雑で不安定な現代においては、それらを重視するだけでは不十分だ。常日頃から良書に触れることによって、人間としての「洞察力」を鍛えておく必要がある。
本書は日本興業銀行(現みずほ銀行)、ゴールドマン・サックス、森ビルで働き、バブル崩壊とリーマンショックの金融危機を切り抜けてきた著者が、ビジネスリーダーをはじめ、働く多くの人が読むべき良書200冊を紹介している。
さらに本書では読書をする上で押さえておくべき時代背景、学問の系譜、宗教・哲学・経済学の進化の過程がまとめられている。こうした大きな流れが分かっていないと、名著や古典の理解度はどうしても下がってしまう。
新型コロナウイルスの世界的な蔓延など、現在はますます複雑で不安定な時代に突入している。現代を生き抜いていくための手引として、持っておきたい一冊である。

本書の要点

・読書をする理由は「知識を得る」という目的だけでなく、人間としての「洞察力」を高めるためでもある。
・読書は人間が根源的に抱えている問いに対する道しるべとなる。根源的な問いとは「世界はどうしてできたのか、また世界はなにでできているのか?」「人間はどこから来てどこへ行くのか、なんのために生きているのか?」である。
・学問は宗教や神話から始まり、哲学へと発展した。

そして哲学から科学や経済学などさまざまな学問へ分化していった。



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