レビュー

ビジネスパーソンの中には、大学で「経済学」を履修した人もいるだろう。あるいは社会人になってから教養としてしっかりと身につけている人も多いかもしれない。

しかし、学んだ経済学の知識がビジネスの課題解決に直結していると自信を持って言える人は、果たしてどれほどいるだろうか。
本書は最新の経済学をビジネスに「実装」することを提案し、経済学が企業の課題解決に役立つことを具体的なテーマで紹介したものだ。
著者は「経済学のビジネス実装」を手掛ける第一人者の実務家と経済学者たち6人。「眠っている学知をビジネスに活用しないのはもったいない」と、顧客データを分析して離脱率を調べる、収益を最大化する価格を推定するなどの企業の収益に直結する取り組みを進めている。米国に目を転じると、グーグルやアマゾンをはじめ、多くの最先端企業では、経済学者の雇用が進み「経済学のビジネス実装」の成果が実証されているという。著者は日本でも「経済学のビジネス実装」を進め、成長戦略を加速すべきと説く。
「ゲーム理論」「需要分析」「消費行動」「顧客生涯価値」といった、経済学で学んだ言葉が随所に出てくる。そうした「学知」は本来、ビジネス課題解決のために活かすべきものなのだと痛感する。気鋭の実務家と経済学者たちの手による本書には、日本企業の勝ち筋と、目の前のビジネス課題解決のヒントがある。

本書の要点

・経済学は暮らしの改善やビジネスの利益拡大に役立つ「武器」であり、企業が経済学者をパートナーとすることは、現状を変える有効な手段である。
・技術革新と価値観の変化のなか、「FSP―D」モデルを用いたビジネス戦略を立てることが、今後の勝負の分かれ目になる。
・顧客への投資額は顧客生涯価値で決めるべきだ。

一律投資よりも、高いリターンが見込める顧客に集中投資する方が効率的である。



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