レビュー

日本屈指のリーダー養成塾である松下政経塾。1979年、故・松下幸之助氏が84歳のときに設立して以来、政財界を中心に多くの人材を輩出してきた。

卒塾生には衆議院議員の高市早苗氏、野田佳彦元首相、村井嘉浩宮城県知事など、そうそうたる面々が名を連ねる。
松下電器(現パナソニックグループ)の創業者であり、戦後の高度経済成長の牽引役でもあった松下氏は、その晩年に人材育成に力を入れていた。私財を投じて開いた松下政経塾もその一つであり、本書は松下氏が塾長として塾生たちに語った内容、とりわけ「リーダーになるために知っておいてほしいこと」をまとめた一冊である。
松下氏は「成功するリーダー」に必要なこととして、素直な心でいること、人間の本質を知ること、人情の機微を悟ること、初志を貫くことなどを挙げている。政治もビジネスも相手は人間だ。IT化が進む現代もその基本は変わらない。成功するためには、何よりもまず人間について理解することが大切であると、氏は繰り返し説いている。
本書に掲載されている内容の多くは1980年代前半に語られたものだが、不思議と古さは感じず、今に通じる普遍性が随所に見出せる。長く受け継がれるものには理由がある――。そうあらためて気づかされる。
経営者やマネージャーなどのリーダーはもちろん、幅広い層の方に手に取っていただきたい、必読のビジネス書だ。

本書の要点

・素直な心になろう。

素直になればものの本質がわかり、賢く聡明になれる。
・知識は道具である。知識は必要だが、それに振り回されてはいけない。自分が主人公になり、縦横無尽に使いこなさなければならない。
・会社経営で成功しようと思ったら、人間の本質を知らないといけない。
・成功者とは、困難に負けず初志を貫いている人だ。あれこれ迷って転々としている人は失敗することが多い。
・人生でいちばん大事なことは、人情の機微を悟ることである。思いやりの心をもって人情の機微を理解すれば、思い通りのことができるだろう。



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