レビュー

どの組織においても、人材の発掘は重要なテーマであり続けている。イーロン・マスク氏はスペースXで雇う3000人を全て面接したという。

自社にとっての逸材を採用したいという、マスク氏の真剣味が伝わってくる。人間とは複雑なものだ。果たして優れた「人材」とは、人間のどのような点に注目すれば見抜けるのだろうか?
著者らは、ニューヨーク・タイムズのコラムニストであるタイラー・コーエン氏と、起業家でエンジェル投資家の一面も持つダニエル・グロス氏だ。二人は、ベンチャーキャピタルの伝統と、多様な人材を発掘するための新しい視点を融合させ、逸材を発掘するためのメソッドを語り尽くす。さまざまな研究を引用しながら、知性や性格特性、面接方法について高い品質の情報を提供しようとするのだ。
そこから導かれるのは、「このような要素がある人材を採用せよ、なぜならそれが科学的に正しいから」といった単純化された法則では決してない。人材の能力測定の難しさを認めながら、多様な観点に配慮し、慎重に議論を進めていく。複雑で予測不能な現実に対して誠実に向き合う姿勢が、その信頼性を支えている。もちろん、その内容は採用に限らず、友人やパートナー探しなど多様な場面で役立つものばかりだ。「隠れた才能」の見出し方を本書から学んでいただきたい。

本書の要点

・人材探しとは、過小評価されている人材を見つけることである。
・面接においては、誠実に候補者に向き合うことが必要だ。

その上で、候補者が準備してきていないことを問うことで、より充実した、形式的でないコミュニケーションを行える。
・人材において知能は重要だが、万能ではない。また、パーソナリティに関しても、シリコンバレーでよく使われる個人の性格に関する著名な学説「ビッグファイブ理論」が当てはまるのは特定の文脈だけである点に留意が必要だ。



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