レビュー

SDGs・ミレニアル世代・Z世代――。世の中には新しい風が吹いている。

自然保護や地球貢献は、若い世代にとっては「自分ごと」であり、その切実さは上の世代以上である。本書によると、2025年にはミレニアル世代以降の人口が日本の労働人口の過半数に達し、多くの人が時代の変化を実感するだろうと予測している。
新しい時代にはどのようなビジネスが必要なのか。本書では、知識と知識の組み合わせによって新たな知識をつくり出し、その新たな知識によって未解決の課題を解決する「知識製造業」を唱えている。20世紀の日本を牽引してきた製造業は、いまやすっかり低迷してしまった。しかし、町工場や地域の中小企業を中心に、かつて世界一を誇った技術や知識はいまも脈々と息づいている。日本経済を復活させるためには、この知識を活用した「知識製造業」へのシフトを訴えている。
著者の丸幸弘氏は、株式会社リバネスというユニークな事業を行っている会社の代表である。全社員が博士号もしくは修士号を持つ研究者集団で、「科学技術の発展と地球貢献を実現する」というビジョンのもとベンチャーの創業支援を行っている。有名なところでは、バイオテクノロジー企業のユーグレナがある。本書からは、「日本の輝きをもう一度取り戻そう」という、著者の熱い想いが感じられる。
「知識製造業」という考え方は非常に興味深く、著者の行っている取り組みや提唱するアイデアは、未来への大きなヒントになる。
これからの日本経済を担うビジネスパーソン必読の一冊である。

本書の要点

・これからは人間と自然の「共生」が必須だ。人間のあらゆる生産活動は「地球貢献型」になり、ビジネスもその例外ではない。
・ビジネスを地球貢献型にするには、ビジネスの目的を「売上のための課題解決」から「課題解決のための売上」に転換する必要がある。
・関わるプレイヤーたちがもつ知識を「組み合わせる」ことで課題を解決する。このプロセス全体を「知識製造業」という。長年の知識と技術を蓄えた日本の製造業は、知識製造業の実現にふさわしい。
・日本の製造業の強みは「すり合わせ」にある。



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