レビュー
大きな失敗や挫折をしたとき、どうやって立ち直ればよいだろうか。その方法を「飴玉」という切り口で教えてくれるのが本書である。
著者の山口真由さんは大学の研究者やテレビのコメンテーターとして活躍している。その経歴は華々しく、東京大学法学部を「オール優」で卒業後、財務省、法律事務所で働き、米国のハーバード・ロースクールを卒業し、帰国後は東京大学大学院法学政治学研究科博士課程を修了した。
勝ち組のキラキラした人生を歩み、挫折から最もほど遠い存在と思うかもしれない。しかし、そんな彼女は、就職してすぐ仕事ができずに冷たい目で見られ、上司から退職を勧められ、転職に向けた面接が全て落ちた過去をもつ。逃げるように留学したが、婚約者と破局し、帰国後は収入激減で苦しんだという。
そんな挫折を経験したときの悔しさや悲しみなどの感情を結晶化したのが「飴玉」だ。著者はこの飴玉を時々取り出して、当時の記憶を味わい、生きる糧にしている。著者は、特大飴玉という5つの経験を赤裸々に開示し、そのときの悔しさを前に進むエネルギーに変える「飴玉メソッド」を紹介していく。飴玉は自身の心の傷を癒し、立ち直る手段になると同時に、飴玉を部下や後輩に差し出すことで、その人たちのセーフティーネットの役割も果たすという。
失敗や挫折で落ち込んでいる人はもちろん、昔の傷を昇華できていない方にも希望の光を投げかけてくれる一冊だ。
本書の要点
・失敗や挫折をしたときの悔しさや悲しさといった感情を結晶化したのが「飴玉」だ。
・著者の人生最大の飴玉は、法律事務所での仕事が評価されず、退職をすすめられたことだ。
・飴玉のつくり方は、挫折をしたときにその内容を書き出し、何度も書き直して第三者へ話すことだ。その過程でさまざまな気づきを得られる。
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