レビュー
個人・企業を問わず、「未来」に対する見通しは非常に重要なものである。例えば、今就いている仕事は10年後、あるいは20年後になくなってしまうかもしれないし、社会保障制度も変わるかもしれない。
その未来を巡って、日本は暗い状況にあるといえる。少子高齢化が進む中、労働力の減少・社会保障費の負担増は多くの人が実感を持っているはずだ。かつては「ジャパン・アズ・ナンバーワン」として世界に冠たる経済大国だったが、今や中国に抜かれてしまい、給与も上がらず新興国の猛追を許している。
本書では、経済成長は「労働力」「資本」そして、「科学技術」によって構成されると述べられている。その中で日本が活路を見出すべきは、「科学技術」である。AIやメタバース、自動運転といった社会構造そのものを変えるテクノロジーが進化し、医療技術も日進月歩だ。科学技術分野で主導権を握ることができれば、経済成長を続けることも夢ではないだろう。
本書では、こうした日本が置かれているマクロ的な状況とともに、注目を集める最新技術についてわかりやすく解説している。本書を読めば、日本の未来は必ずしも絶望的ではなく、生きる道はまだ残されていることが理解できるはずだ。
今できる備えは何か、活路はどこか。ぜひ本書を読んで確かめてほしい。
本書の要点
・日本政府は「実質成長率2%」というシナリオにもとづいて政策を立てているが、実際は1%程度の経済成長が現実的なラインである。
・2040年には経済の中心が欧米からアジアに移っている。日本は世界平均よりは豊かであるが、新興国との差は縮まるだろう。
・テレプレゼンス、デジタルツイン、ブロックチェーンなどを活用したメタバースは、幅広い分野での活用が期待されている。
・自動運転車の実用化はリスクとメリットの両方をもたらす。自動車産業の構造変化やドライバーの失業というリスクの一方、安全性の向上や物流コストの削減といったメリットもある。
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