レビュー

有益な情報を引き出す、交渉をスムースに進める、人を動かしてチームの成果を上げる……これらはそれぞれ別の能力のように見えるかもしれない。だが本書を読むと、すべて「質問力」につながっていることがわかる。


著者は『頭のいい人は「短く」伝える』『頭のいい人は「答え方」で得をする』をはじめ、話し方や書き方のベストセラーを多く生み出してきた樋口裕一氏だ。本書はそんな樋口氏が、仕事やコミュニケーションを自分の思い通りに進める「質問」の仕方を指南する一冊となっている。
質問によって仕事もコミュニケーションも思い通りになる――このことがピンとこない人に向けて、本書の中から例を挙げてみよう。たとえば、グズグズと動き出せない部下がいるときには「ボトルネックになっていることがあるの?」と質問すればよい。相手にたっぷり自慢させて、求める情報を引き出したいときには、「一体何がきっかけで今のポジションにまで来られたのですか?」と聞けば、相手の「話したい欲求」を刺激できて、コミュニケーションがうまくいく。
本書では、有益な情報を引き出す質問、交渉をスムースに進める質問、信頼を獲得する質問、ピンチをチャンスに変える質問、人を動かす質問が、それぞれ7~10種類ずつ、シーン別に紹介されている。読み進めるうちに、質問はまさに万能で、使いこなせばあらゆる物事がうまくいくということがわかるだろう。そのまま使えるフレーズが掲載されているため、口下手の人にもおすすめの一冊である。

本書の要点

・質問によって得る情報の精度を高めたいなら、「質問の3WHAT」を意識するとよい。すなわち、「定義」(それは何か?)、「現象」(何が起こっているのか?)、「結果」(何がその結果起こるのか?)である。この3つの観点は、何か言うべき状況なのにコメントが浮かばないときにも役立つ。
・相手がこちらの提案や条件に同意する気配がないときには、自分の主張理由を述べた後、「賛同しないならこんなよくないことが起こる」と、客観的な根拠とともに示すのが効果的だ。


・仕事の進行状況が思わしくない部下には、相手の言動をまず褒めて情緒的な共感を示した後、行動を促す質問をしよう。



フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に3,300タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。

編集部おすすめ