レビュー

心理的安全性のある職場とは、平たく言えば、どんな立場の人でも「何でも言える職場」である。心理的安全性が確保されている職場では、上司も部下もお互いに言いたいことを言い合い、対等な議論のもと効率よく仕事が進む。

創造性も発揮しやすくなり、高い成果につながることも期待できる。
部下から上司に「言いたいことが言えない」場面は容易に想像がつくが、本書は上司から部下へも言いたいことが言える環境をつくることを目指す。近年ではハラスメント対策の意識の高まりから、失言を恐れて部下に注意することをためらう上司も少なくないからだ。指摘すべきことまで言いづらい職場は健全とはいえない。どんな立場の人も、言いたいことを言える状態を目指したい。
では、心理的安全性はどうしたら育むことができるのか。本書は職場でよくあるシチュエーションで「どちらのスタンスをとればいいか?」を二択問題で考えていく。本書はまず、職場の人間関係に悩む上司の方にお勧めしたい。もし職場の若手に仕事とプライベートを分けたがる人、出世に意欲的でない人がいて、対応に悩んでいるとしたら、本書がその心情を理解し、働きかけるヒントを与えてくれるはずだ。また、上司の発言を不可解に感じ、なぜそんなことを言われなければいけないのかと感じたことのある若手社員にも、本書の内容は参考になる。先輩社員や上司の言動の背景にある心情を知れば、受け止め方もわかるだろう。
まずはクイズに挑戦するつもりで、本書の問いに答えてみてほしい。
どちらが正しいスタンスなのかを考えながら、自分の職場への活かし方を探っていこう。

本書の要点

・心理的安全性が保たれている職場とは、「上司、部下のどちらも言いたいことが言える空気感がある状態」の職場を指す。どの立場の人も心理的安全性が確保されていれば、組織としてのパフォーマンスが上がる。
・心理的安全性が低くなる原因には、「無知、無能、邪魔、ネガティブ」の4つがある。まずは周囲に挨拶する、挨拶を返すことからはじめよう。挨拶には自分が敵ではないことを周囲に知らせる効果がある。
・会社が一つのコミュニティである以上、会社にも、仕事以外のことや、つらいこと、楽しいことをシェアできる友だちがいたほうがよい。



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