レビュー
人気サッカーマンガの『アオアシ』。愛媛のサッカー少年・青井葦人が名門サッカークラブ「エスペリオン」のユース監督に才能を見出され、切磋琢磨しながらプロを目指していく青春ストーリーである。
『アオアシ』のユニークな点は、主人公・アシトの「思考力(インテリジェンス)」を成長の軸にしているところだ。その名のとおり、アシトが「考える葦」に育っていく物語なのである。
本書では『アオアシ』を題材に、「自ら考えて動ける人材」になるための、ものの見方と考え方を説いている。著者は楽天大学学長で、『組織にいながら、自由に働く。』などの著書を持つ仲山進也氏だ。昨今はビジネスでも「自分の頭で考えて動く」ことや「自律的な人材」が求められるようになったが、「考えて動く」ことは意外と難しい。視野を広げる、判断する際の価値基準を持つなど、さまざまな「前提」が揃わないと真の意味で自律的な動きはできないからだ。
本書では「自ら考えて動く」ために必要な「思考のフレームワーク」を紹介し、マンガのワンシーンとリンクさせながら説明する。『アオアシ』を読んだことのない人でも理解できるよう、マンガのコマとともに丁寧な解説があるのもありがたい。
上司に「自分で考えて」と言われて途方にくれている人、部下の受け身な姿勢に悩む人、自らのビジネス力をブラッシュアップさせたい人。本書を開き、アシトと一緒に「考える葦」になるためのヒントをつかんでほしい。
本書の要点
・思考力のベースとなるのは「言語化」だ。「自分で考えて動ける人材」になるには、「観察→判断→実行」ループを回すことである。
・観察力をつけるには、「視点」を獲得して使いこなす必要がある。視点を知らない、もしくは固定された状態にあると、同じものを見ていても違うものが見えてしまう。
・判断は「価値基準×入力情報」と表せる。よい判断をするにはよい価値基準を持つ必要があるが、価値基準は常に自分で決められる。
・テクニックの習得は、「仮説→試行→検証→規範化」を高速回転させることが肝となる。「検証」ではやったことをふりかえり、言語化することが大切だ。
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