レビュー
本書は哲学書でありながら『チ。地球の運動について』など、多くの漫画作品が事例として登場する。
衝動に突き動かされた人を実際に目の前にしたとき、私たちは「え?なんでそんなことを、そんな熱量で?」と思うことがある。しかし実際に本人に理由を聞いても、それっぽい理由はあるのに、どことなく腑に落ちない場合がある。それもそのはず、他者にも理解しやすい社会的なインセンティヴやメリットなどは二の次で、彼らを突き動かす衝動は本人だけのものなのだ。
本書では「衝動」を「自分ではコントロールできないくらいの情熱」と定義する。現代は「逆算思考」や「キャリアデザイン」をはじめ、いわゆる「自分の人生を自分でコントロールする」考え方が優勢だ。そんな時代において、自分でも制御できないほどの情熱は、むしろ邪魔になりそうだ。だが著者は、「衝動」こそが自分自身を解き放ち、まだ見ぬ可能性へと突き動かす原動力になると力説する。
みんなと同じレールに乗っかってきたけど「なんか違う」と思っている人、「将来の夢」を聞かれたら、いつもテンプレ通りに答えている人。そんな人は、ぜひ本書を開いてほしい。
本書の要点
・衝動とは、「自分でもコントロールしきれないくらいの情熱」だ。衝動は世の中の理屈や予測可能な未来を吹き飛ばし、私たちをどこかへ連れて行く力がある。
・衝動とモチベーションは似て異なる。衝動には合理的な説明では回収できない過剰さや、極端な持続性が含まれる。
・衝動を見つけるには、自らの「偏愛」を解釈する必要がある。自分は何を楽しみ、何を避けたいと思うのかを「セルフインタビュー」によって丁寧に聞き取ろう。
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