レビュー
最近なぜか気分が落ち込みがちで、寝つきが悪い。体調も悪く、このままでは業務を続けられそうにない。
本書の著者、武神健之氏はメンタルヘルスのプロフェッショナルだ。日本医師会認定産業医であり、一般社団法人日本ストレスチェック協会の代表理事でもある。これまで、大手外資系企業を中心に、年間1000件以上、延べ1万人以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を実施してきた。
本書ではそんな武神氏が、メンタル不調の基礎知識に加え、休職の準備と休職中の過ごし方において「やってほしいこと」と「やらないでほしいこと」を丁寧に教えてくれる。
心身の不調に気づいていても、すぐに休職という選択を取れる人は決して多くないだろう。自分の仕事はどうなるのか、これからのキャリアで不利になるのではないかと不安になって当然だ。だが武神氏は本書で「自分の不調を受け入れ、向き合い、うまく制度を利用すれば、適切な『休職』は、むしろあなたの未来のキャリアを守る選択なのです」と断言している。
メンタル不調当事者はもちろん、その家族、上司、同僚にあたる人や、人事、経営層にもぜひ読んでほしい一冊である。いま健康に働けている人も、転ばぬ先の杖として、本書を一読しておくことを勧めたい。
本書の要点
・休職している社員には、大きく分けて「休息期」「回復期」「復職準備期」という3つの時期があると考えられる。
・休息期は、短い人で1か月、長い人では3か月以上に及ぶ。この時期には、しっかり休んでエネルギーを充電することが最優先だ。
・回復期に最も大切なのは、趣味を楽しむことだ。好きなことをしていると気持ちが前向きになるし、よく食べられて、よく眠れる。さらに、復職後の気分転換としても役立つ。
・復職準備期には「好きなことを続ける」「社会とのかかわりを少しずつ増やす」「通勤や日常生活のリズムづくり」の3つを意識したい。
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