レビュー
自分が所属している組織の集団に、不満はあるだろうか? そう聞かれたら、誰でも1つや2つは挙がるだろう。では、その問題はいったいなぜ発生しているのか? という質問を受けたとしたら、なんと答えるだろうか。
本書は、組織におけるチームワークを「集団心理」という学術的な観点から論じていく書籍である。そこで最初に説かれているのは、人間が集団になることで、さまざまな問題が必然的に生まれてしまうこと、そしてその原因を「個人の存在」に求めるべきではないということだ。
どれだけ優秀な個人を集めたとしても、集団として機能するとは限らない。もちろん、個人の資質がまったく無関係というわけではないが、機能する集団をつくるためには、集団というもの自体の性質を理解することが必要不可欠である。
そのために本書は、個人に問題を帰結させるのではなく、「状況」に注目していくことを推奨している。集団という器が悪ければ、どんなに素晴らしい個人が集まっていても、全体としてはうまくいかない。個人がその力を発揮できる状況を整えることこそが、チームが機能する環境をつくることにつながるのだ。
本書は集団の本質を理解し、実践に活かすための強力なガイドとなるだろう。チームづくりに悩むすべてのリーダーにおすすめしたい。
本書の要点
・組織とは人の集まり、「集団」だ。
・チームがワーク(機能)するためには「目標の共有」「相互協力」「役割分担」「成員性」の4つの要素が必要だ。
・チームワークの土台となるのは「リーダーによるリーダーシップ」だ。これが安定しなければ、チームは機能しない。
・リーダーシップは「行動」で捉えよう。日常的には「課題」と「対人」を回していき、長期的には「変革型」を取り入れるとよい。
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