レビュー

「人的資本経営」や「女性活躍」という言葉をよく聞くようになった。しかし、実際それらに取り組むためには具体的にどうすればいいのか。

そもそも、なぜ必要とされているのか。改めて問われると、容易に答えられない人は多いのではないだろうか。
本書は、そんな疑問に鮮やかに答えてくれる一冊だ。人的資本経営の重要性や、女性活躍を含めたダイバーシティの推進が必要な理由、そして、日本企業で女性活躍がなかなか進まない背景などが詳細に記されている。また、組織で実践するためのステップも提示されているため、今まさに人的資本経営やダイバーシティに取り組もうとしている経営者・人事担当者にとっては、理想的な指南書となるだろう。
要約者が特に納得させられたのは、「属性に関係なく公平に評価される組織は、誰もが活躍できる組織である」という点と、「育児期の社員が働きやすい環境は、他の人にとっても働きやすい環境である」という点である。世間では「子持ち様」という言葉が流布しているように、育児で休みがちな社員の仕事で負担が増えることを嫌悪する風潮がある。しかし、何かあったときに早退したり休みを取りやすかったりする職場は、他の誰にとっても負担が少ない環境であるはずだ。
女性活躍やダイバーシティの推進は、組織全員にとっての利益となる。本書を組織づくりのテキストとして、大いに活用していただきたい。

本書の要点

・ダイバーシティの推進は、女性と育児期の社員から始めるといい。女性は社会的マイノリティの中のマジョリティであるため、多様な人材が活躍できることを示すバロメータとなる。


・日本企業で女性管理職が増えない背景には、日本企業特有の「構造」と「意識」の問題がある。
・女性が「管理職になってよかった」と感じるまでには時間がかかる。はじめは自信が無くても、経験を重ねていくにつれポジティブに変化していくだろう。
・女性活躍推進の実践には、「経営」「人事(現場)」「社内外コミュニケーション」の3つの視点を持ち、連携していくことが必要だ。



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