レビュー
「これ、うまくまとめておいて」「当事者意識を持ってもらわないと」「臨機応変によろしく」
こうしたフレーズはビジネスシーンでよく聞かれる。しかし、このような指示を出されたときに、その場ではなんとなくわかったつもりでも、いざ手を動かそうとすると何をしていいのかわからず、途方にくれてしまったことはないだろうか。
本書はそんな「曖昧フレーズ」の解像度を上げる方法を指南する。「解像度を上げる」というフレーズも昨今よく聞かれるようになったものだが、本書では言葉の意味が「わかる」だけでなく、そこから一歩踏み込んで、「じゃあ何をすればいいか?」と考えて「動ける」ところまでを目指す。
著者はトヨタ自動車株式会社に長年勤務した経歴を持ち、そこで実践されていた、資料を「紙1枚」にまとめる技術をベースに、解像度を上げるための技法として『「1枚」フレームワーク』を提唱する。その方法はシンプルで、再現性が高い。また、本書は実際によく聞く「曖昧フレーズ」を例にとり、それについて考えながら「1枚」フレームワークのやり方を解説する、という構成になっている。本書を読むことで、「1枚」フレームワークが習得できるだけでなく、12の「曖昧フレーズ」の解像度も上がり、一挙両得である。
本書は上司と部下、どちらの立場の人にとっても有益なものとなっている。上司にとっては、部下がすぐに動けるように指示するために、部下にとっては、上司の曖昧な指示を理解するために、必要なスキルである。令和を生きるビジネスパーソン必携の一冊だ。
本書の要点
・ビジネスシーンではさまざまな「曖昧フレーズ」が飛び交う。これを実際に「動ける」状態になるまで解像度を上げることで、仕事の停滞を最小化し、コスパ・タイパを最大化して働けるようになる。そのためには、『「1枚」フレームワーク』が有効だ。
・『「1枚」フレームワーク』の基本は次の3つのステップである。(1)緑ペンで4×4の枠組みを書き、テーマを決める。(2)青ペンでキーワードを書き出す。(3)赤ペンで矢印などを使って視覚的にまとめる。
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