レビュー

チームがまとまらない、思うように動かない。そんな悩みを抱えるリーダーは多いものだ。


そこで、責任感が強く真面目な人ほど、「とにかく細かく指示を出そう」と考えがちである。だが、それがかえってチームをバラバラにしているとしたら――本書は、そんな気づきを与えてくれる一冊だ。
著者の林健太郎氏は、バンダイ、NTTコミュニケーションズを経てアメリカでプロコーチとしての修行を積み、帰国後は日本を代表する大手企業や外資系企業などで、2万人超のリーダーを支援してきた人物である。独自開発した「コーチング忍者」研修はサザビーリーグやワコールなどで導入されており、また、チームビルディングの専門家としても活動中だ。
本書では、チームをまとめるための習慣が、チームが「まとまるリーダー」と「バラバラのリーダー」という対比形式で明快に整理されている。たとえば、部下の願いや個人的な事情、キャリアビジョンに耳を傾けること。雑談によるウォームアップを大切にすること。失敗例と成功例をチーム内で共有し、話し合うこと――いずれも現場ですぐに実践できる工夫ばかりだ。
プレイングマネジャーとして忙しい日々を送る人に、本書を勧めたい。実践すれば、チームの空気が変わり、成果が変わり、何よりも自分自身が変わるきっかけになるはずである。

本書の要点

・ミスをした部下には、「仲間」と「会社の顔」という2つの役割を使い分けて指導することが重要だ。共感する「仲間」としての姿勢と、改善を求める「上司」としての立場を明確に切り替えて伝えることで、部下の信頼と成長意欲を引き出せる。


・業務前の軽い雑談は、部下が仕事に取り組む気持ちを整えるための大切な「ウォームアップ」である。
・部下のやる気を引き出すカギは、昇進ではなく「キャリアビジョン」の対話にある。将来像を共有し、その実現のために今できることを共に考えれば、信頼と貢献意欲が育まれる。



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