レビュー
人手不足、24時間営業の是非、フードロス批判など、コンビニ業界には逆風が吹いている。そうした中、ローソンはどのような戦略と戦術をとってきたのか。
コロナ禍の期間中、ローソンの業績は際立って悪化した。だが、2023年度には過去最高の業績を記録し、V字回復を果たす。その背景には、「お客様のためにすべてがある」という原点に立ち返る、抜本的な改革があった。
稚内での4店舗出店、良品計画との事業提携、フードロス削減への挑戦――。7年以上もローソンを独自取材してきた経営学者の著者が、精緻なデータ分析と丹念なインタビューを通じてローソンの成長戦略に迫っていく。
著者はプロローグで、ローソンのフランクで温かな社風に魅力を感じ、個人的にもローソンを応援していると述べている。また、経営学者としての冷静な視点に加え、人や組織を丁寧に描き出す筆致には、現場のリアルを読者に届けたいという想いが込められているのだろう。
2025年に創立50周年を迎えるローソン。コンビニ業界の勢力図が塗り替わっていく可能性を感じさせる一冊だ。本書には、事業戦略やマーケティングの観点から、他業種にも応用可能なヒントが詰まっている。
本書の要点
・V字回復を果たすと、ローソンは「ローソン・タウン」構想を掲げる。競合ばかり意識するのではなく、「お客様のためにすべてがある」という姿勢に立ち返った。
・日本最北端の町・稚内への出店プロジェクトには4つの成功要因があった。
・「驚きのパンツをつくれ」という竹増社長の一言から、ローソンと良品計画の事業提携がスタートし、無印ブランドの全国展開が進んでいる。
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