レビュー
「ヒデちゃん」の愛称で幅広い世代から親しまれる中山秀征氏は、2025年にデビューから40年を迎えた。「誰からも愛される」ことが働き続けられることと直結している世界で、著者は好かれる人、信頼される人には共通点があることに気づいた。
「誰からも愛される」ことを支えているのは、ちょっとした「気くばり」の積み重ねであるようだ。なかでも印象的なのが、志村けんさんとのエピソードだ。一時代を築いた昭和の大コメディアンは、テレビ番組では陽気で朗らかな印象であったが、著者が「師匠」と慕った志村さんは、プロ意識が高く、ストイックで、謙虚でもあったことが感じられる。あそこまでのぼりつめた人が、こんなにも周りに気を配っていたのかと驚かされると同時に、だからこそ長年愛され続けているのだと納得させられてしまう。
そんな大御所から可愛がられてきたという著者が実践した「大先輩を誘う秘訣」は、ビジネスパーソンがまさに聞きたかったところかもしれない。そのほかにも、自己紹介のコツ、信頼されるためのコミュニケーション術など、仕事や日常生活で役立つ内容が豊富に詰まっている。著者の温かみのある語り口と具体的なエピソードのおかげで、実践のイメージが持ちやすい。人間関係に悩む人や、より良いコミュニケーションを目指す人にこそ、気くばりという視点の力強さを実感してほしい。
本書の要点
・著者は長年の芸能生活で、誰からも愛されている素晴らしい人たち出会ってきた。人間関係の達人たちは、「気くばり」ができている。
・大先輩である志村けんさんと初めて会う機会があった収録で、著者はある質問をした結果、飲みにつれていってもらえることになった。
・博学で仕事にこだわりを持っていた志村けんさんは、誰よりちゃんとしているのに偉ぶることがなかった。そんな志村さんの「バカでいる」という教えは、究極の気くばりであり、一生モノの金言だ。
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