レビュー
日々の仕事、生活の中で、自分が何をすべきかわからず、漠然とした不安を抱えている人は少なくないだろう。そんなとき、著者が提案するのは、「まず自分をととのえること」である。
本書の著者、川田直樹氏は、コクヨ株式会社の会社員であり、サウナ歴35年の大のサウナ好きである。サウナの可能性に魅せられて、社内に「サウナ部」を立ち上げ、さらには約220社、4000人あまりが加盟する異業種サウナコミュニティの共同代表を務める。
要約者は当初、本書を「サウナの入り方や効能、おすすめ施設を紹介するガイドブック」の類だと想像した。しかし、ページをめくるごとに、その印象はいい意味で裏切られる。もちろんガイドブックとしても使えるが、著者のサウナライフを通じた自叙伝であり、「コクヨの会社員」という本業と「サウナ」という趣味を掛け合わせた生き方、「ワークライフブレンド」の入門書であり、サウナを切り口としたビジネス書でもあるという、多様な面を見せる。
特に印象的なのは、著者が運営してきたサウナコミュニティの活動事例や、サウナ施設のプロデュースにまつわるエピソードである。そこには、コミュニティを育てるための工夫や、「好き」を仕事に変えていくためのヒントが散りばめられている。サウナ好きはもちろんのこと、社内の人間関係や自分の生き方に漠然とした不安や不満を抱えている人にこそ読んでほしい、「新感覚・サウナビジネス本」だ。
本書の要点
・サウナは単なる入浴法にとどまらず、心身の健康や交流、文化的体験、自身との対話を促進する、多面的な魅力を持つ特別な空間だ。
・参加するコミュニティが多いほど視野が広がり、人生はポジティブになる。心理的な距離が縮まりやすいサウナを、コミュニティの1つに入れてみよう。
・企業の成長には、部署の垣根を超えた活動や新たな価値観の発見が不可欠だ。役職や業務の枠を超えて社員が交流できる、「サウナ部」のような「社内のゆるいコミュニティ」が重要となる。
・「企業の強み×サウナ」で新たな事業やライフスタイルが生み出されている。
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