レビュー

あなたは孤独を感じたことがあるだろうか。孤独の、あなた自身の人生への意味を、考えてみたことはあるだろうか。


さまざまな葛藤や不安を抱えながらも、幼少期から好んできた「読むこと」と、それに付随している「書くこと」を中心とした生活ができている。著者の人生はそうして「孤独な時間がほかの人に較べて多めだったこと」が特徴的だという。
兄弟はおらず、友だちは少なくて、引きこもりも経験した。いまの仕事でも、編集者など限られた人とやりとりをするばかり。パソコンも携帯電話も使用したことがないので、インターネットにもつながっていない。そうした著者の目からすると、世の中の人は「あまりにも孤独を恐れすぎている」ように見える。
現代人は「孤独になる時間すら持てない」のだろうか。糧を得るためだけに仕事をこなし、好きなことには目をくれず、たいへんな人生をなんとかやり過ごそうとしているのだとしたら、そこに待っているのは「奴隷のような生き方」ではないのか。だからこそ著者は、「逃げよ、生きよ」と伝えようとしているのである。
自分から生まれようと思って生まれてくるわけではない。生まれる場所も環境も、選ぶことはできない。気づいたときには自分だけの人生が始まっている。
そのことに絶望する人も、きっと少なくないだろう。でも、言葉があるなら、意志があるなら、そこには一歩踏み出すためのエネルギーが生じるはずだ。
最初は、となりの部屋くらいの距離でもいい。孤独かもしれないけれど、生きる手ごたえは、たしかにある。

本書の要点

・仕事、学業、人間関係など、「いまを生きる人の多くは、『奴隷』になってしまっているのではないか」。
・奴隷の状態に気づいたとき、なんとか克服したいと願うのであれば、やるべきことはひとつである。「いまいる場所から逃げること」だ。
・奴隷の状況から脱したら、「あなたにとって価値ある『なにか』」を模索する必要がある。
・読書を勧めるのは、「仕事や世間の奴隷にならず、くだらない流行から逃れ、そして孤独に耐えるため」である。



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