文 神尾光臣
セリエAで最下位に沈むジェノアは12月27日、ダビデ・ニコラ新監督の就任を発表した。契約期間は6カ月間で、セリエA残留に成功した場合は自動的に契約が延長される条件になっているという。
ジェノアにとってはアウレリオ・アンドレアッツォーリ、チアゴ・モッタに続き、なんと今シーズン3人目の監督だ。第17節のインテル戦で4-0と大敗したことを理由に、エンリコ・プレツィオージ会長はモッタ前監督の解任を決意。その後、母国ウルグアイに戻ってペニャロールの指揮を執っていたディエゴ・ロペスや、ジェノアで過去3度、監督を務めたことのあるダビデ・バッラルディーニなどが候補に挙がったが、最後は選手としても7年間在籍経験のあるニコラが選ばれた。
もちろん監督としても実績があり、2016-17シーズンは前半戦で降格圏に沈んでいたクロトーネを後半戦の追い上げで残留へと導いている。
『時代に逆行』との批判も
それにしても注目すべきは、リーグ全体として監督の解任ペースが早いということだ。11月の時点で5人は8年前の11-12シーズンに匹敵する数字。さらに12月にはナポリとフィオレンティーナでも解任劇があり、そして今回のジェノアだ。第17節終了時点で、リーグ全体で9人が解任と、これは09-10シーズンの10人に迫る数字となっている。
監督の途中解任はセリエAの名物とも言えるものだったが、近年はそのペースがゆるやかになっていた。これまではワンマン型の会長が決定に幅を利かせ、チームの先行きを不安視するあまりに途中解任に踏み切ってしまうことが多かったが、クラブの企業化、意思決定の分業化により、以前よりは途中解任が少なくなる傾向にあった。
一般紙『コリエレ・デッラ・セーラ』は「パトロンのサッカーが終わり、ようやくマネージャーたちによるサッカーが運営されるようになると思っていた。だが、これでは時代に逆行している」と、ジェノアの動向を批判的に報じていた。
解任か続投、どちらが正解なのか
一方で、チームが苦境ながらも監督人事への介入を我慢するクラブもある。
その後、SPALは第17節でトリノに勝ち、最下位脱出に成功している。「トリノ戦の勝利は自信になる。我われはどんな相手をも苦しめることができると私は思っている」とセンプリチ監督は自信を見せた。
カンフル剤の投与に走るクラブと、監督を信用するクラブ。考え方は様々だが、果たしてどちらが正解なのか。それはシーズンの最後にはっきりする。
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