元オランダ代表FWディルク・カイトが率いるベルギー2部のベールスホットは、4月13日に2部優勝を決め、3年ぶりの1部復帰を果たした。

カイトが挑んだベルギー2部の舞台

 2021-22シーズンにベルギー1部リーグで最下位になり、2部に降格したベールスホット。オーストリア人のアンドレアス・ウィーラントが監督に就任し、1年での復帰を目指したものの、2022-23シーズンは3位で終了していた。

2023-24シーズンはズルテ・ワレヘム、デインズらとトップ争いをしていたものの、2023年12月下旬にウィーラントが母国のクラブであるLASKのスポーツディレクターに就任するため退任していた。

 ウィーラント辞任後、元オランダ代表FWディルク・カイトがベールスホットの監督に就任した。フェイエノールト、リバプールで輝かしい選手生活を送り、FIFAワールドカップ決勝も経験したオランダの名アタッカーは、2017年にフェイエノールトで現役引退後、翌年からフェイエノールトU-19監督に就任し、指導者のキャリアを歩んでいた。

 2022年にはオランダ2部に降格していたADOデン・ハーグの監督に就任してトップチームの指導者としてのキャリアを始めるも、成績不振により4カ月で解任されていた。指導者として芳しい成績を収めていないカイトは、新天地ベルギーで再起を図ることになった。

昇格に貢献ライト・フィリップス

 年明け前はズルテ・ワレヘムに続いて2位につけていたカイト率いるベールスホットは、年明け後から4試合無敗で首位に浮上した。

ズルテ・ワレヘムが失速する中で首位に立ったが、第22節にデインズに2-4と敗れた後、3試合未勝利でデインズに首位を譲ることになった。3位以下のロンメル、デンデルが調子を上げる中、ベールスホットは昇格圏からの脱落が危惧された。

 難しいチーム状況を救ったのは、22歳のイングランド人FWディマージオ・ライト・フィリップス。父は元イングランド代表で、マンチェスター・シティ、チェルシーなどで活躍したショーン・ライト・フィリップスで、2022年にストーク・シティでプロデビューを飾っていた。

 今シーズン、ストーク・シティで出場機会に恵まれなかったライト・フィリップスは、冬の移籍マーケット最終日の2月1日に半年間の期限付き移籍でベルギーへ渡った。加入後は途中出場で出場機会は限られていたが、3月9日に行われた第25節リールセ・ケンペンゾネン戦に移籍後初先発すると、43分に同点ゴールを決め、3試合勝利がなかったベールスホットに逆転勝利をもたらす貴重なゴールを決めた。

 信頼を獲得したライト・フィリップスは、上位直接対決となった第26節ズルテ・ワレヘム戦で決勝点を挙げて連勝に貢献すると、第28節オーステンデ戦では1ゴール1アシストの活躍を見せて4連勝の原動力になった。チームはこの4連勝で2部優勝を決め、3シーズンぶりの1部復帰が決定した。

 サラブレットのライト・フィリップスに買取オプションはついていないが、昇格の立役者になったことで期限付き移籍延長も検討されているようだ。

 来季は宿命のライバル、ロイヤル・アントワープとのアントウェルペンダービーにも臨むことになる。両クラブの契約次第になるが、アントワープ率いるマルク・ファン・ボメルとカイトというオランダの盟友同士の対戦も実現する。


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