【桧山珠美 あれもこれも言わせて】


 春の改編でポジションが変わったキャスターたち。1カ月経ち、そろそろ馴染んできた頃か。


 まず「サンデーモーニング」(TBS系)の膳場貴子(49)。3月までは「報道特集」のメインキャスターだった。


 1987年の番組スタート以来、実に36年半にわたり、番組の顔だった関口宏の後を受け、相当のプレッシャーではと思われたが、驚くほど馴染んでいて「関口ロス」の声が出てこないのはさすが。


 新しくメインを張るにあたり、普通なら自分のカラーを打ち出していこうと頑張るものだが、膳場はそうではないところが安心できる。番組もオープニングの曲が少し変わったくらいであとはこれまで通り。先代の暖簾を守り抜きますという感じで、長年の視聴者も違和感なく見られる。


 これまで「筑紫哲也NEWS23」や「報道特集」という局の看板番組を引き継いできた膳場。いってみれば、引き継ぎのプロで、これまでの経験上、下手に「我」を出さないのが得策というのをわかっているのだろう。


 うがった見方かもしれないが、「どうですか、寺島さん」と膳場に聞かれた寺島実郎も、なんだか楽しそうだ。


 才色兼備を具現化したような膳場、完璧すぎて逆にイヤミではと思ったら、初回のスポーツコーナーで「最初に白状させていただきますと、ちょっとスポーツはまだ『あれ』ですので、いろいろと教えてください」とスタジオを和ませた。


 そのスポーツコーナーにご意見番として登場した中畑清に「大丈夫ですか? セ・リーグ、わかりますか?」と言われ、ニコッと笑って「大丈夫です」と。ニュースとは打って変わって和やかで、おじさんたちもいつにもまして冗舌に。


■母・三雲孝江の面影がある星麻琴


 NHKもキャスターが一新された。注目は「ニュースウオッチ9」を担当する星麻琴。3月までは「日曜討論」を担当して討論を仕切り、その手腕が認められ、今回抜擢されたかたちだ。


 彼女の母は元TBSアナウンサー三雲孝江で、どこか面影がある。芸能人2世はその辺に転がっているが、アナウンサー2世はそういるものではなく、ついひいき目に見てしまう。



藤井貴彦の不安要素はないけど一言

 最後は日本テレビ系「news zero」の藤井貴彦。

3月で日テレを退社、フリーになった。もともと夕方のニュース「news every.」のメインキャスターとして、いわば日テレの顔だっただけあって、なんの不安要素もない。


 ただし、一言。月曜キャスター桜井翔だけでも持て余しているのに、4月からパートナーの立ち位置で火曜・波瑠、水曜・板垣李光人、木曜・シシド・カフカを起用し、俳優のキャスターごっこに付き合わされている。いただけません。


(桧山珠美/コラムニスト)