TKO木下隆行さん 不祥事騒動から再起を懸ける日々…「目標はキングオブコントで優勝することや」

【死ぬまでにやりたいこれだけのこと】

　TKO木下隆行さん（52歳）

　お笑いコンビTKOは不祥事騒動からの再起を懸け、昨年から全国47都道府県で行うコントツアー「周るTKO」を敢行中。バラエティー番組にも出演して話題に。

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　──全国ツアーの経過と3月のバラエティー番組復帰（フジテレビ系「さんまのお笑い向上委員会」）の話を聞かせてください。

　40カ所くらい終わりました。チケットが売れない町では手売りしてます。ライブはみなさんが満足して帰っていただけてますので、手応えはありますよ。「周る」と書いてある車で全国回っているんです。再起を懸けて47都道府県ツアーを始めたんですけど、本音はメチャクチャ大変で。

　バラエティーに出た反響も大きくて、相変わらず炎上もしてますけど温かい声援もありました。炎上慣れしてますけど（笑）。話題にしてくれることがうれしいです。

　──これからやりたいことは？

　来年も全国ツアーをまたやりたい。

　変な言い方ですけど不祥事を起こしてなかったら、都道府県をすべて行ってコントするなんてあり得なかったし、出会ってなかった人が大勢いるんです。回っているうちに思考も変わっていきました。もちろん不祥事は絶対起こしちゃいけなかったですし、反省もしてきました。でも、不祥事を起こして再起のために全国ツアーをしてなかったら「今、俺何をしてんのやろ？」と考えるとゾッとするんですよ。

　ツアーをしてなければ行くことはなかった町に行き、「来てくれてありがとうございます！」と言われるとすごくうれしい。コントで人と出会えているんです。

　昔のように芸人の営業のショッピングモールで20分のネタをやるのとは違って、チケットをネットや手売りで買ってくれた何百人の人たちと会っていくと、今では「あそこの県のライブは楽しかったなあ」とか思い出すんです。

　だから、やりたいことはまず、来年以降も全国を回ること。これは相方に話したら木本も同じ考え方でしたよ。

　全国ツアーで、若手の気持ちになれたのが僕らの大きな財産。今は「必死」と「夢中」が一緒になっている気持ちです。

　──芸人としてと、プライベートな目標は？

　目標としてるのは「キングオブコント」の優勝なんです。決勝に出場していた時期も、まあまあの年齢だったんですが、「キングオブコント」は年齢制限がない唯一のコンテストなので、大きな目標にしてます。

　もちろん今の若手はメチャクチャおもろい。

　周りからは「チャレンジするのがええんや」とも言われますが、そういうレベルの話とは違うんです。ダメだった時のためにそう言ってくれているのはわかるけど、目標はあくまで「現実として決勝いって優勝することなんや」と。

　今の若手は面白いけど、僕らおっさんの味も面白いと思われるように、おっさんを逆に武器にして挑みたい。30年間やってきて、こんなにコントと向き合った日々はなかった。

　芸人以外のことだと、44歳から始めた服のブランドですね。「BUCCA44」といってブカブカという意味なんですが、僕のように太っていたり大きい体向けのブランドです。お相撲さんやラグビー選手のようなスポーツ選手も着られる服。

　元々は僕が13歳からファッション好きで、芸人の仕事が増えた頃からブログで新しいファッション画像を5年くらい毎日毎日載せていたんですよ。そのブログを見たファッション関係の社長さんが「そんなに服が好きなら作ったら？」と言ってくださったのがきっかけで作ったブランド。

　コントは一時期やめましたけど、服のブランドは不祥事を起こしてもコロナ禍があってもやめずに8年目。店舗はコロナ禍になくなりましたのでネット販売しています。目標はブランドを大きくすることですね。

「不祥事の服、誰が着るか」と言われたこともありますが、サンドウィッチマンの伊達ちゃんだけは今も着てくれてる姿をテレビでたまに見かけます。メチャうれしいですね。

　あともう少し全国回るので、ぜひコントを見に来てください。

　（聞き手=松野大介）

▽木下隆行（きのした・たかゆき）　1972年1月、大阪府出身。92年に木本武宏とお笑いコンビTKO結成。後輩にペットボトルを投げつけた一件で2020年に事務所を退所。23年から3年ぶりにコンビ活動再開へ。コントツアー5月11日・徳島（シビックセンターさくらホール）、12日・愛媛（シアターねこ）、25日・石川（DOUBLE）など。詳細はTKOのHPまで。