【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】


 これむしろ、時代とズレないようにしようとする「忖度マン」がTBSにいたのが原因ではないかと思います。説明しましょう。


 まずはTBSの「オールスター感謝祭の演出担当」の立場で考えてみましょう。長時間特番の演出で一番怖いのは、番組が「タルくなる」ことです。6時間以上もクイズをやるわけですから、当然視聴者にも出演者にも飽きがくる。そんな中だるみをビシッと締めてくれるだろう! という期待を込めて江頭2:50さんをキャスティングしたのでしょう。


 あの日スタジオで起きたことは、どう考えても「大成功」です。例のテーマ曲に乗って江頭さんが期待通りの大暴走! そしてターゲットにされた永野芽郁さんが、女優さんらしく「キモいエガちゃんの攻撃」からダッシュで逃げて、涙ぐんでくれたわけで。動きの少ないクイズのスタジオに波乱が起きて、笑いを誘いつつ大盛り上がりです。


「面白かったね」ということで、テレビ的には大成功。視聴者もそんな感想で終われるところでした。


 ところが、です。「面白かったからTVerでもう一度見てみよう」と思ったら、そのシーンがカットされていたから大騒ぎになった。この「全カット」さえ無ければ、何の問題もなかったんです。

「プロの仕事を期待通りした江頭さんグッジョブ」プラス「女優根性でプロのリアクションをとった永野芽郁さんグッジョブ」なのに、そのオイシイ名シーンをカットする「とてもプロとは思えないTBSのポンコツ仕事」が悪いのです。


 これきっと「やっぱあれさあ、永野さん嫌がってる感じだから、フェミ関係からクレームが来ちゃうかもしれないよ。カットしないと」とか「スターダスト(永野さんの所属事務所)にも怒られるかもしんないし」とか、したり顔で言い始めた「忖度マン」がいたからカットすることになったんじゃないかと思うんですよね~。


 でも、それって永野芽郁さんを馬鹿にしてますよね。永野さんぐらいの実力派女優が、あれくらいのテレビの「お約束」でガチ嫌がるわけないじゃないですか。「びっくりして生理的に涙が出て、メイクを直してただけ」だというのに、変に「忖度マン」が暗躍し全カットするから「なんかヤバかったんじゃないか」と変な憶測を呼び、それが江頭さんや永野さんへのネットでの非難まで招いてしまったわけで…。


「忖度マン」がテレビ局内にはいまウジャウジャいるわけですが、番組の面白さをブチ壊すし、コンプラ的にもかえってややこしくするし、ホント誰も幸せにしませんよね。要は自分が「怒られたくない」とか「仕事した感を出したい」とかいうだけの理由で、変なことを言い出す「忖度マン」を一掃しないと、テレビはどんどん地盤沈下していくんだと思いますね。


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 著者の過去のコラムは【関連記事】から読めます。みなさまからのテレビ局の疑問をお待ちしています。


(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)


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