【桧山珠美 あれもこれも言わせて】
3月30日放送「俺の話は長い~2025・春~前編」(日本テレビ系)を見た。
生田斗真扮する36歳無職のニート・岸辺満は実家に寄生、喫茶店を営む母・房枝(原田美枝子)を手伝うわけでもなく、言い訳と屁理屈が達者なクセ強キャラ。
バリキャリバツイチしっかりものの姉・綾子を小池栄子、その娘の春海を清原果耶、他に綾子の再婚相手を安田顕、喫茶店の常連客で近所の古書店店主を西村まさ彦、満の後輩で、Barクラッチのバーテンダーを杉野遥亮が演じている。
5年前のドラマにしてはそんなブランクを感じさせない。すぐに馴染めた。このドラマが面白いのは内容はもちろん、1時間枠で30分×2本立てのスタイルなこと。斬新で、そのおかげでテンポ良く見ることができた。
脚本の金子茂樹は2020年にこの作品で向田邦子賞を受賞した。そういう意味でも令和の新しいホームドラマとして愛される作品だったといえる。
今回は5年後ということで登場人物にも変化があった。コロナで心が折れ、喫茶店を休業中の母、早期退職募集に心揺れる姉、中学生だった春海は大学生に。春海に「変わらないよね~」と言われ、「だろ? 変わるのは簡単だけど、変わらないのは努力がいるからな」とドヤ顔の満。これですよ、これ。この感じ。
そして物語は、家と喫茶店を売却するかしないかというところで、4月6日の後編に続く。
アラ還世代には「続・続・最後から二番目の恋」
昨今ドラマ界に続編の流れが来ている。春ドラマでも楽しみとされているのが「続・続・最後から二番目の恋」(フジテレビ系)。木曜劇場枠で「最後から二番目の恋」が放送されたのは2012年1月。2年後に「続・最後から二番目の恋」が放送され、11年の時を経てお目見えだ。
アラフォーの恋を演じてきた小泉今日子と中井貴一もアラ還世代。人生100年時代、酸いも甘いもかみ分けてきた大人の男女がどんな物語を見せてくれるのか。
江口のりこ演じる五月女恵がひとり時間を楽しむドラマ「ソロ活女子のススメ5」も始まった。21年4月に放送されて以来毎年1回新作を発表している。
毎クール、大量の連ドラが生産され、視聴が追いつかない。ならばいっそ連ドラなど見るのをやめるという人も多い。
「最後から」のような何十年ぶりの続編ドラマには、夢中になって見ていたあの頃の自分に会えるという郷愁や感慨深さがあるのもいい。
(桧山珠美/コラムニスト)