【今週グサッときた名言珍言】


「大爆笑でした」
(バカリズム/フジテレビ系「ワイドナショー」3月23日放送)


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 ピン芸人としてはもちろん、いまや脚本家としても日本を代表する存在となったバカリズム(49)。彼の書くドラマに出たいという人は多く、東野幸治もそのひとりだ。

本人から直訴されたこともあり、バカリズムもキャスティング会議で名前を出したという。ただし、東野は「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」(日本テレビ系)の「真の大根役者頂上決戦」で“最強の刺客”として登場するような男。「スタッフさんの反応はどうだった?」と聞く東野に返した答えが今週の言葉だ。


 バカリズムが初めて連続ドラマの脚本を手掛けたのは、2014年の「素敵な選TAXI」(関西テレビ・フジテレビ系)だった。だが、当初マネジャーは断ろうと思っていたという。スケジュール的に無理だと判断したためだ。しかし本人がやりたいと主張した。「たぶん相当厳しいけど、もし成功したら、これは多才感が出る」(日本テレビ系「おしゃれイズム」14年12月28日)と。なにより当時、連ドラの脚本を書く現役の芸人は例がなかったことが大きかった。「誰かがやっていたら僕はやらなかった」(シネマトゥデイ「シネマトゥデイ」17年3月26日)。


 バカリズムの脚本はよく、女性の気持ちや会話にリアリティーがあると評価されている。だが、バカリズム自身は「女子の気持ちはわからない」と言う。

「あれは別に女子の会話じゃないから。たまたま男でも思うことを女性が言うから共感されてるだけで、別に男も女も共感できることしか入れてない。だから恋愛は書けない」(ニッポン放送「バカリズム ザ・ラジオショー」25年3月25日)と語るのだ。


 そして、その会話の多くは若い頃、友人たちと深夜までダラダラしゃべり合っていたことを“再現”している。「みんな家庭とかができて、そうなると思うんですけど、友だちの家で朝までダラダラする時間ってもうなくなってくるでしょ? 思い返すと、結局あれって一番楽しかったみたいな。(略)それへの憧れがあるのかも。ずっと、なんにも起こらないけど、ずっと深夜に笑ってたみたいな」(テレビ朝日系「証言者バラエティ アンタウォッチマン!」23年6月6日)。


 ところで、バカリズムにはキャストを選ぶときの絶対条件があるという。それは「良い人」かどうかだ。「人気よりも人柄で選んでる」(「バカリズム ザ・ラジオショー」=前出)と。それは、あの深夜に友人たちとダベっていた幸せな時間の空気感をよみがえらせるために、不可欠な要素に違いない。


(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)


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