【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】
そういえば、最近は芸能人を呼ぶようになりましたよね、テレビ局の入社式。やっぱり芸能人に会うと新入社員が「自分が特別な会社に入った気がして盛り上がる」からでしょうかね。
ちなみに私たちが新人の頃には、そんなにお客様扱いで気を遣ってもらえることはなかったです。上司の口癖は「嫌ならいつでも辞めていいよ。代わりはいくらでもいるから」でした。まだテレビ局員が人気の職業だったからでしょうね。いまやテレビなんてブラック業界の代表格ですから、新入社員はびっくりするほどすぐ辞めてしまいます。入社式に芸能人を呼んで盛り上げて、少しでも愛社精神を高めてもらおうという人事の気持ちも、そういう意味ではよく分かります。
それに芸能人は言ってみればテレビ局のお得意先ですから、「入社式に出てください」と依頼すれば、「あなたのことを弊社は大切に思ってますよ」とさりげなく伝わりますので、そういう意味でも出演者対策としては悪くない話です。だから流行っているんでしょうね。
■自局のニュース番組でネタにできる一面も
さらに、芸能人が来てくれれば「ちょっと面白い」ので、自局のニュース番組で「入社式シーズンのニュース」の一環として放送できますよね。
ちなみに私が新入社員の頃には、生放送のワイドショーとかのスタジオを見学させられて、その様子を放送で紹介されるパターンも多かったです。「自分たちの顔が放送された」というので少しテンションが上がる、という感じですね。私たちが出演したのは、当時放送していた『女38歳気になるテレビ』という『笑っていいとも!』の裏番組でした。
ホント誰も知らなくて(涙)…親にも「なにその番組?」と冷たく言われて、「テレビ朝日に入社してほんとによかったのかな?」と悲しい気持ちになったのを覚えてます。
(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)
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