参院選を控え、国会は減税一色だ。立憲民主党が「食料品0%」を打ち出し、オール野党が減税方針。

与党も公明党が「減税の実現」を参院選の重点政策に掲げ、自民党内では参院側を中心に減税論が広まっている。


 執行部が慎重な自民を除き、主要政党が減税で一致。だったら参院選を待たずに今国会でサッサと審議し、減税を実現すべきではないか。4月値上げの飲食料品は計4000品目を超え、米価は16週連続でアップ。今まさに庶民の家計は火の車だけに、なおさら早期実現が望ましい。物価高やトランプ関税による影響を踏まえ、石破政権も経済対策を検討しているが、減税に勝る対策はない。


 しかも衆院は野党多数。「食料品ゼロ」「一律5%」と各党の方針に違いはあれど、小異を捨てて大同に付けば減税の法案を可決できるはず。参院側も自民議員の8割が減税に賛成だ。執行部に反旗を翻せば可決・成立もみえてくる。国民生活が第一を貫けば造反は大いに結構。誰も文句は言わないだろう。


 それなのに各党とも腰が重い。「消費税減税は税制改正を伴い、法改正にもある程度の審議時間を要する」と声を揃え、参院選を経た秋の臨時国会での審議を視野に入れる。周知期間を含めれば、最短でも減税開始は来春が、永田町の常識である。値上げに苦しむ庶民にすれば遅すぎやしないか。



「景気条項」を削除したのは安倍政権

「かつてなら、もっと迅速に対応できたはず。消費税法には『景気条項』の付則があり、景気情勢次第で税率の見直しが可能だったからです。1994年に税率を5%に引き上げ方針を決めた際も『見直し条項』が付き、当時の村山首相は『引き下げが可能なのか等々も含めて十分検討する』と答弁したほど。ところが、その景気判断の条項を安倍元首相が削除してしまったのです」(立正大法制研究所特別研究員・浦野広明氏=税法)


 2014年に安倍元首相は景気条項に基づき、税率10%への増税延期を表明。しかし、2度目の延期は、リーマン・ショックや東日本大震災のような事態が起きた場合以外にないとして、法文から景気条項を削除したのだ。ところが、これだけ強気だったのに、16年には2度目の延期を決断。法文の増税時期を書き換えるため、法改正を迫られた。


「景気条項を残しておけば煩雑な手続きナシに減税は可能だったに違いありません。

非常に悔やまれます」(浦野広明氏)


 これもまた数多くある安倍元首相の大罪のひとつだ。


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 国民民主党の玉木雄一郎代表が、参院選公約に「食料品の消費税0%」を盛り込むことに決めた立憲民主党に敵意をむきだしにした。野党第1党の立憲も減税を打ち出したことで票を奪われまいと必死のようで…。●関連記事【もっと読む】『立憲の消費税0%案「原則1年・食品限定」にこれだけの弊害…国民玉木代表は独自試算で批判連発』で詳報している。


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