票目当てにしたって、タチが悪すぎる。夏の参院選で改選を迎える自民党旧安倍派の西田昌司議員(京都選挙区)が3日に那覇市内で開かれた「憲法シンポジウム」で、住民の4人に1人が命を落とした沖縄戦にイチャモンをつけ、県民の猛反発を招いている。

県議会では抗議決議をまとめる動きが加速。裏金議員の西田氏に推薦を出し、内輪モメしている公明党はどうするのか。支持母体の創価学会と沖縄は浅からぬ縁がある。


 問題のシンポジウムは神道政治連盟県本部や日本会議県本部でつくる実行委員会が主催し、自民県連が共催。岩盤保守層が集う場で、おもねる西田氏はデタラメを吐き散らかした。


■「歴史修正主義」全開


 2007年の初当選前に訪問したというひめゆりの塔について、「あの説明を見ていると、要するに日本軍がどんどん入って来て、ひめゆり(学徒)隊が死ぬことになっちゃったと。そしてアメリカが入って来て、沖縄が解放されたと。亡くなった方々は救われませんよ、本当に」と放言。「歴史を書き換えられると、こういうことになっちゃう」「沖縄の場合には、地上戦の解釈を含めて、かなりムチャクチャな教育のされ方をしてますよね」などと続けた。


 ひめゆりの塔にそういった記述は存在しないし、旧日本軍が住民を犠牲にしたのは紛れもない事実。地元紙の琉球新報と沖縄タイムスは社説で〈西田氏発言 沖縄戦証言、研究愚弄した〉〈西田議員「ひめゆり」発言 学徒の証言に向き合え〉と猛批判している。


 この展開に大汗をかいているのは公明だ。

昨秋の衆院選は裏金非公認議員を推薦して大惨敗。にもかかわらず、「政治倫理審査会で弁明した」とかいう理由で西田氏らに推薦を出し、学会員らからブーイングを浴びせられている最中。そうでなくても、故・池田大作名誉会長の沖縄に対する思い入れは格別だった。バイブル化した池田氏の著書「人間革命」は米軍統治下の沖縄で書き始められたもので、「かたちを変えた、本土の『捨て石』であったといってよい」ともつづっていた。


「都合が悪い歴史にフタをし、平然と修正する。安倍元首相がそうだったように、周辺にもその手合いが多い。目立ちたがり屋なのも彼らの特性です。口火を切った『石破降ろし』が不発に終わり、奇をてらったのでしょう。それにしても筋が悪い。県議会には公明会派もある。この際、問題だらけの議員は叩きのめさなければいけません」(政治評論家・本澤二郎氏)


 今年は戦後80年の節目。不逞の輩を国政に残してはダメだ。


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 派閥裏金事件から続く自民党への逆風は、石破内閣の支持率低迷でさらなる強まるばかり。これまで確実に議席を維持してきたテッパン選挙区もガタガタだ。●関連記事【もっと読む】『参院選公示まで2カ月 自民の“テッパン選挙区”に異変! 東京・千葉・兵庫は大苦戦確実…複数区で共倒れ危機』で詳報している。


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